有資格者は足りているのに…一向に解決しない待機児童と保育士不足問題の盲点

有資格者は足りているのに…一向に解決しない待機児童と保育士不足問題の盲点

(C)PIXTA

保育園の待機児童が、2年連続で増えている。受け入れ定員も拡大されているが、それ以上に利用希望者が増えているためだ。


解消策の一つである保育園の新設計画も頓挫するケースが相次いでいる。



その主な要因は周辺住民の反対で、その理由に驚かされる。



子供の声がうるさい
不動産の資産価値が落ちる
周辺の道路が狭くて危険

以上のようなものが大半だ。“子供は社会の宝”と言われてきたが、この言葉はすでに過去のものになった感じがする。


「待機児童が深刻な東京都の場合、天使の声か騒音かという幼稚園や保育園の論争は、もう半世紀も続いてきました。住民の苦情のない地域でも、日ごろから住民と交流することで、トラブルが起きないように配慮しています。例えば、夏になると園児たちが外で水遊びをするので、普段よりも大きな声ではしゃぐケースがある。そのときは前もって、地域にあいさつ回りをし、理解を得るようにしています」(都内私立保育園経営者)


待機児童を減らす上での課題はもう一つある。特に私立で深刻なのが保育士の不足だ。問題になっているのは賃金の低さ。幼児教育という大切な仕事にもかかわらず、平均給与は35歳平均で22万円弱だ。


「保育士資格を持っているが、保育士として働いていない人が、全体の半数以上いるといわれています。待機児童を補うために必要な有保育士資格者は不足していないのです。資格があるのに保育士にならないのか、もしくは保育士になったけど辞めてしまうのか、というところに焦点を当てていかなければなりません」(育児誌ライター)



“保母さん”に従事する人は、ほぼ例外なく女性だったが、1985年に制定された男女雇用機会均等法や、1999年の男女共同参画社会基本法の制定を契機として、1990年代からは男性保育士も増えたといわれている。実態はどうなのか。


「男性保育士を雇うことはどこも考えているのですが、乳児の場合はおむつの取り替えがあるので、女児の場合は保護者に嫌がられるのです」(前出・経営者)


2010年の国勢調査によると、保育士の中で男性が占める割合は2.5%。5年前の0.8%より増えてはいるが、まだ少数だ。


公認会計士、税理士、司法書士…、金や財産に関する有資格者より、命に関係する保育士や介護士の待遇が悪い現在の日本は、いびつだと言わざるを得ない。

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