廃校や荒れた公園などの「公的不動産」が活用されない理由

国や地方公共団体には約570兆円もの膨大な“公的不動産”が眠っている。この額は企業が所有する不動産470兆円よりも多い。なぜ活用されないのだろうか。


「公的不動産とは、公園や学校などの不動産のことです。廃校や廃園になっても、企業体やNGOなどに手放すことはありません。日本は欧米に比べて、民間の力を利用した公的不動産の活用で大きく遅れており、主要先進国では世界一遅れていると言ってもいいくらいです」(不動産コンサルタント)


文科省管轄の小中学校は、毎年約500校のペースで廃校になっている。また、寂れた公園も多くが放置されているが、一向に保育園や幼稚園に転用される気配はない。どうすればいいのか。


「例えば、東京都台東区には歴史ある旧下谷小学校があります。上野駅からわずか徒歩5分という絶好の立地ですが、現在の耐震基準を満たしていないため、廃校内施設の貸し出しなどは行われていません。実にもったいない話なのです」(同・コンサルタント)


貸し出しできない理由を台東区は、「耐震補強をする予算がない」と説明している。


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不動産の有効活用を阻む「固定観念」

「台東区に限らず、行政は“建物の安全に関しての責任は自分たちが持つ”という呪縛にとらわれ、民間に払い下げるとか、耐震補強をして再利用するとかの青写真すら描きません。耐震補強なども含めて民間に“丸投げ”してしまえば、行政が自ら関与する形で耐震補強をするよりもコストも抑えられるはずです」(都市問題に詳しいジャーナリスト)


東京都渋谷区にある宮下公園は、2019年8月開業予定の“宮下公園等整備事業”が進行中だが、かつてはスポーツメーカーのナイキが整備費や管理費を出す代わりに、公園をマーケティングに使わせてほしいと提案したことがあった。しかし、直後に「公園は公衆の物」という声が挙がり、結局ナイキはロゴマークすら出せなかった。


「日本では、財政難から管理や運営すらできず、荒れたまま放置されている公園が増えています。それにもかかわらず、行政は『公園は公共の管理下にあるので、勝手に企業が営業をしてはいけない』という論理を変えられずにいるのです」(同・ジャーナリスト)


廃園や廃校を保育園や幼稚園にすれば、少子化問題は解決に向かうはずなのだが。


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cacci / PIXTA(ピクスタ)

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