性犯罪が法改正で従来よりも厳罰化され取り締まり強化

性犯罪を厳罰化する改正刑法が6月16日成立し、7月13日から施行されている。性犯罪の規定についての大きな改正は、1907年(明治40年)の刑法制定以来のことだ。


改正刑法の主なポイントは次の通り。



強姦罪の罪名を『強制性交等罪』に変更
膣内性交のみならず、これまでは『強制わいせつ罪』で処罰されてきた肛門内や口腔内への陰茎挿入も合わせて『性交等』とし、強制性交等罪で処罰する
いままでは女性に対してのみだったが、男性も被害者としてその罪を処罰する
暴行・脅迫がなく、飲酒や薬物の影響などで心神喪失・抗拒不能の状態にある者に対する性交等も同様(準強制性交等罪)
懲役刑の下限について、強姦罪の懲役3年、同致死傷罪の5年から、強制性交等罪を懲役5年、同致死傷罪を6年にそれぞれ引き上げる。
告訴がなくても起訴が可能になり、既に告訴が取り消されている事件などを除き、この非親告罪化は原則として改正法施行前の犯罪にもさかのぼって適用する
18歳未満の者に対し、親など監護者がその影響力に乗じて性交等やわいせつ行為に及んだ場合の、暴行や脅迫がなくても処罰する『監護者性交等罪』と『監護者わいせつ罪』を新たに創設し、刑罰は強制性交等罪や強制わいせつ罪と同じとする

その他、集団による強姦罪などを廃止して強制性交等罪などに一本化し、情状面で判断するなどとした。


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取り締まりが強化された一方で残っている問題も

法改正前は、例えば次のようなケースで無罪判決が出ていた。


塾経営の男性が、生徒である未成年の女性をホテルに連れ込んで性行為に及んだ。男性が日ごろから親身に指導をしていたこともあり、女性はこの男性とのあいだに強い上下関係を感じていた。先生から性交されそうになって、精神的に混乱し、感覚が麻痺して抵抗できる状態になかったため、その後になって、女性は被害を訴えたが、裁判で男性に下された判決は無罪だった。


「この女性は性行為をすることに全く同意していませんが、被告人は生徒が断れないという確信をもって行為に及んでいます。女性が抵抗できなかったにもかかわらず、暴行や脅迫がなかったのだから女性は断ることができたはずだというのが、男性が無罪になった理由でした」(性犯罪に詳しいジャーナリスト)


一方で、性暴力によって被害者の5〜6割がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥り、非常に苦痛で生活しづらい状態になっているという。そのことによって失職したり、普通の生活に戻れず、人間関係を構築できなくなったり、何年も何十年も通院しなければいけなくなったり…といったことが現実に起きている。


性犯罪が厳罰化へ向かっても、こうした課題は残されたままなのである。


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Pakhnyushchyy / PIXTA(ピクスタ)

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