2017年によく耳にした「リベラル」とは?

2017年によく耳にした「リベラル」とは?

田中允堂 / PIXTA(ピクスタ)

2017年によく耳にした“リベラル”という言葉。



日本には、戦前からリベラルの太い流れがある。戦争と軍部独裁に反対したジャーナリストの石橋湛山(のちの首相)や、衆議院で反軍演説をした斎藤隆夫らだ。その伝統は憲法9条に受け継がれ、戦後民主主義の大きな柱となった。


もうひとつリベラルの大きな特徴は、20世紀のアメリカの民主党進歩派のように、あらゆる人が差別なく人間らしく生きる権利を保障することだ。そして公平な分配のために政府は積極的な施策をとること。国家主義ではなく個人の尊厳や社会の多様性を大事にするとうのがリベラルの定義だ。


「オックスフォード大学の一番権威がある英語辞書によると、リベラルの定義は、1.相手の意見に寛容であること。2.違った意見に対して寛容であることです。ということは、日本のリベラルと称している政治家や評論家、知識人は全員アウトということになります。端的な例を挙げると、マルクス主義を掲げている共産党がリベラルという見方はあり得ません。マルクス主義は多様性を認めない一党独裁を党紀に掲げているからです」(国際ジャーナリスト)


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左翼がリベラルという呼び名を使い出した

本来“自由主義”を意味するリベラルという言葉が、政治の派閥を表す意味で使われるようになり、いつの間にか誰も正確な意味が理解できなくなっている。


「リベラルという概念は複雑な要素はありますが、55年体制の『右・左』『保守・革新』という2大軸の延長線上にあると思っていのではないでしょうか。『保守・革新』で色分けされた戦後政治の記憶がある人らは、冷戦崩壊を経て、いまは保守と対抗する概念に『革新』ではなく『リベラル』を置いているのです」(政治ジャーナリスト)


左翼はいつしかリベラルという呼び名を使い出した。端的に言えば日本の自称リベラルは、左翼集団と見て間違いない。ジャーナリストの池上彰氏も某番組で「日本でリベラルを名乗っている人は要するに左翼なのだ」とばっさりと切り捨てている。


「ある自民党支持の東大生が某番組で言っていましたが『愛国心には本来、右翼も左翼も保守もリベラルもないのに、国が好きと言った瞬間に右だとか“ネトウヨ”とのレッテルを貼る。愛国心と政治的信念は無関係なはずです』と語っていたのが印象的でした。立憲民主党の枝野幸男代表は、結党直後から『自分は保守リベラル』『保守とリベラルは対立しない』などと発言しています。衆院選後にはテレビで、自分を『30年前なら自民党宏池会入りしていた』とも語っていたことからリベラルを左翼と理解しており、左翼と見られることを嫌ったのでしょう」(同・ジャーナリスト)


ところで、本来右派であるはずの安倍晋三政権は、同一労働同一賃金や教育無償化といった、ある意味リベラルな政策を主張している。


「本当のリベラルは安倍さんですよ」(前出の国際ジャーナリスト)


“自称リベラル”の正体を見破らないと、とんだことになる。


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