日本一のイチゴを巡る「栃木県」と「福岡県」の熾烈な品種競走

日本一のイチゴを巡る「栃木県」と「福岡県」の熾烈な品種競走

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アジア地域だけでなく、いまや欧米でも日本産のイチゴが高い人気を誇るようになっている。


そのため、最近では『あかねっ娘』、『紅ほっぺ』、『あきひめ』、『さがほのか』といった定番の品種から、さらには『いばらキッス』、『きらび香』、『紅い雫』、『古都華(ことか)』、『熊紅(ゆうべに)』などのブランドイチゴが日本各地に誕生し、各生産地で熾烈な競走が起きている。



中でも生産量47年連続日本一の座に君臨する栃木県産のイチゴは突出して有名だ。その主力製品が1996年に誕生した『とちおとめ』である。


「栃木県は昭和30年代からイチゴ栽培を本格化させ、産地として生産量を伸ばしてきました。その背景には、肥沃な大地、冬季の豊富な日照時間量、豊かな地下水など、おいしいイチゴを育む環境に恵まれていることが挙げられます。特に10アール(1,000平方m)当たりの収穫量が4.2トンと単位面積当たりの収穫量も日本一なのですが、それを可能にしているのが、県内で生産するイチゴの親株の85%を県内で供給できる体制を整備したことです」(県農政部経済流通課)


同課職員の名刺はイチゴ型。そこには“栃木はイチゴ生産量日本一!”の文字が躍る。また、栃木県は“早出し”にも一日の長がある。


「イチゴの需要が最も増えるクリスマス商戦(ケーキなど)に先駆けて高値で売れる“早出し”の体制を整えているのも強みです。とはいえ、1993年には一度だけ福岡県に産出額1位の座を明け渡したこともあります」(同)


その福岡県は、とちおとめに対抗する品種を『JA全農ふくれん』がブランド化に取り組み、2005年に登録した。それが『あまおう』だ。同県の従来品種『とよのか』に代わる品種として福岡県農業総合試験場で育成されたイチゴである。



「果物店であまおうは1パック1,000円ほど。『とちおとめ』は700〜800円程度で販売されていますから、高級イチゴのイメージでは『あまおう』に軍配が上がっています」(流通関係者)


しかし栃木も、あまおうに対抗するために新品種『栃木i27号』を開発。2014年に品種登録されたこのイチゴの大きさは、一般的なものの約1.6倍だという。しかも25g以上の果実の発生割合が、1株当たり約2/3を占めることから、収穫量をより多く確保できるという利点もある。商品名は一般公募され『スカイベリー』と名付けられ、価格はとちおとめの4倍近い。


栃木県と福岡県は、“宿命のライバル”として、これからも切磋琢磨しておいしいイチゴを世に送り出してほしいものだ。

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