災害情報SNSで収集、自治体4年で10倍に 人口規模大きいほど活用

災害情報SNSで収集、自治体4年で10倍に 人口規模大きいほど活用

SNSで災害情報収集 自治体増

災害情報SNSで収集、自治体4年で10倍に 人口規模大きいほど活用

首相公邸(左)と首相官邸=東京都千代田区で2019年5月1日午前10時20分、川田雅浩撮影

 災害発生時にツイッターやフェイスブックなどのSNS(ネット交流サービス)を使って救助要請や被害状況などの情報を収集する自治体が、2016年度から4カ年で約10倍に増えたことが内閣官房IT総合戦略室の調査で明らかになった。毎日新聞の独自調査では、人口規模の大きい政令市や特別区ほど活用割合が高いことも判明。SNSが人々の生活に欠かせないツールとなり、効果的な活用法を模索する自治体も現れている。

 11年3月の東日本大震災では、SNS上で被災者から救助要請や被害状況が多く発信された。その後の災害でも同様の現象が続いており、自治体も気象情報や避難場所などに関する情報発信、救助要請などの情報収集の手段として活用するようになってきた経緯がある。

 こうした状況から、同室は14年度、初めて全自治体(数は19年度まで1741で同じ)を対象に「情報発信にSNSを活用しているか」を調査。その結果、約4割に相当する672自治体が活用しているのを確認した。その後の調査で、活用自治体は年々増加。19年度は全体の6割を超える1145自治体に達し、自治体数としては6カ年でほぼ倍増した。

 また、16年度から「情報収集にSNSを活用しているか」を尋ねる調査も実施。同年度は「活用している」と答えた自治体が全自治体の1%に満たない11自治体にとどまったが、19年度は約6%となり自治体数としては4カ年で約10倍に上る107自治体に増えた。

 毎日新聞は20年11月、「災害時のSNSを活用した情報発信・収集」について詳しく聞くため、全国の政令市と特別区(全43市区)に限定してアンケートを実施。その結果、全市区が過去の災害における情報発信でSNSを活用したと回答した。一方で、情報収集でSNSを活用したとしたのは全体の3割超に当たる14市区。国内全自治体を対象にした内閣官房の調査結果を踏まえても、人口規模が大きい自治体ほど活用割合が高い傾向がうかがえた。収集した情報の内容(複数回答可)は、12市区が「気象情報や災害発生情報」▽5市区が「避難状況や支援物資のニーズ」▽3区が「救助要請」と答えた。

 災害時のSNSの活用に関しては、内閣官房が17年に自治体を対象として活用方法や注意点をまとめたガイドブックを作成。SNSで災害の発生状況を把握する場合に情報を捕捉しやすい検索ワードの組み合わせなどを紹介したり、SNSの活用において先進的な自治体の取り組みを掲載したりした。

 また、政府は20年7月に閣議決定したIT新戦略の中で、被災者がSNSで質問するとAI(人工知能)が自動で避難情報などを回答する「チャットボット」の開発を進めることを明記しており、国の施策も進んでいる。

 東京大大学院の田中淳特任教授(災害情報論)は、「災害時は使える情報は全て使うのが鉄則。全国の自治体が河川の水位計などの各種センサーを災害覚知に使うように、SNS情報も覚知のきっかけとなり、被害の広がりを把握するのにも有効な手段となり得る。そうした手段として全国の自治体が効率的にSNSを活用できるよう、国も環境整備を支援すべきだ。また、情報収集に当たる職員を確保できない自治体への財政支援も必要だ」と話している。【金森崇之、井上元宏】

関連記事(外部サイト)