「病院救急車」活用進まず 静岡・甲賀病院、導入8カ月 知名度向上が課題

「病院救急車」活用進まず 静岡・甲賀病院、導入8カ月 知名度向上が課題

病院救急車で患者を搬送するデモンストレーションを行う救急救命士ら=静岡県焼津市大覚寺のコミュニティーホスピタル甲賀病院で2020年11月20日午後0時57分、渡辺薫撮影

 静岡県焼津市のコミュニティーホスピタル甲賀病院が2020年5月、県内の民間病院として初めて「病院救急車」の運用を始めた。一般的な救急車は出動が増加の傾向にあり、緊急性の低い患者の搬送を担って消防署の負担を軽減する狙いがある。開始から8カ月。知名度不足で活用が進まないなどの課題が浮かび上がってきた。【渡辺薫】

 焼津、藤枝市を管轄する志太消防本部によると、救急車の年間の救急搬送は13年以降、1万人超で高止まり。19年は1万1387件に上ったが、約半数となる5606件が軽症者だった。担当者によると、「年に数回は全救急車(8台)が同時に出払う」という状況で、救急車の使い方が問題視されている。

 甲賀病院は20年5月に2台の病院救急車を導入。甲賀病院に通院などする患者の要請を電話で受けて現場に向かい、病院へ運ぶ。病院救急車は一般的な救急車と同様にサイレンを鳴らし、赤信号を徐行で通行する緊急走行が可能だ。主に軽症者の搬送を想定するが、応急処置を施すことのできる救急救命士を原則として帯同する。

 甲賀病院によると、月の利用者は現在、約60人。病院救急車の運用にかかる年間で5000万円ほどの費用は持ち出しだ。家庭からの要請だけでなく、つきあいのある介護施設や小規模診療所から連絡の入ることもある。軽症者の搬送をカバーする中、痛みを我慢し、あえて「119番」しない重症者のいることが見えてきた。一般的に問題視される緊急性の低い患者が救急搬送を要請し、救急車の運用に負担がかかるケースと逆だった。

 甲賀美智子理事長は「家庭で軽症か重症かの判断は難しい。迷ったら、病院救急車を気軽に利用してほしい」と呼びかけている。甲賀病院に運ばれてくる患者は、病院救急車と消防署の救急車の利用が半々。病院救急車の利用は伸びているものの、さらに活用を促したいとしており、認知度の向上を課題として挙げる。

 甲賀病院は今後、市内の高齢者施設などで病院救急車の周知を図るほか、街頭に広告を設置してPRするという。甲賀病院の病院救急車の要請は24時間、年中無休で受け付け、誰でも利用することができる。出動を要請する際は電話090・2135・9990へ。

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