阪神被災者への災害援護資金 西宮市など負担の可能性 返済免除要件が厳格化

阪神被災者への災害援護資金 西宮市など負担の可能性 返済免除要件が厳格化

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 阪神大震災(1995年)の被災者に貸し付けられた「災害援護資金」で、兵庫県西宮市が返済免除した低所得者23世帯分(計約3170万円)が国の定めた免除基準に当てはまらず、市負担になる可能性があることが市などへの取材で分かった。2015年に国通知に基づいて県と被災各市で免除基準を策定したが、19年の災害弔慰金法改正で要件が厳格化されたため。制度上は国基準外の免除分は市が国・県に返済する必要があり、新たな悩みの種になりそうだ。

 援護資金は県内では神戸や西宮など22市町が被災5万6422世帯に1309億円を貸し付けた。原資は各自治体が国から3分の2、県から3分の1(政令市の神戸市は自己負担)を借りた。生活再建に苦労し、月々1000円から細々と返済する被災者も相次ぎ、県によると、20年3月末で11市で約38億円が未返済だ。

 被災自治体の要望を受け、国は15年4月、低所得者への免除拡大を通知した。県と被災各市は、借受人の月額総所得と預貯金の12分の1の合計から住民税、住宅ローン、生活費を差し引いた額が月ごとの規定返済額(最大約6万4000円)を下回る場合は免除するという統一基準を設けた。

 西宮市はこの統一基準で478世帯(約6・5億円)を免除。だが、19年の議員立法による法改正で、預貯金20万円以下で総所得から税金や社会保険料を差し引いた額が、150万円を下回るとの要件を加えた国の新基準に変更された。150万円の要件は、神戸市の未返済者の平均年齢である64歳の単身世帯の生活保護扶助費を参考に決められ、県統一基準より厳しくなる。西宮市では統一基準で免除された世帯の5%が新基準に該当しなかった。同様のケースは尼崎市にもあるとみられるという。神戸市は国と事前協議がまとまった件のみ免除していたため、該当しないという。

 当初の統一基準に基づく市の対応に誤りはないが、被災者への免除通知の取り消しもできないため、免除分の金額の負担について、市は「対応を検討中」としている。【井上元宏】

災害援護資金

 阪神大震災を受けて1998年に被災者生活再建支援金の制度が成立するまで、被災者がまとまった額を受けられる、ほぼ唯一の公的資金支援だった。大阪府内の被災自治体を含めた貸付額は約1326億円で東日本大震災(521億円)の2・5倍に上る。返済免除は借受人と保証人が死亡か重度障害になった場合しか認められていなかったが、生活保護受給者や自己破産者に加え19年の法改正で阪神大震災被災者には一定の低所得者にも免除が認められるようになった。

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