16日から初の共通テスト コロナ、体調不良者対策に大学側「ぎりぎりの状況」

16日から初の共通テスト コロナ、体調不良者対策に大学側「ぎりぎりの状況」

大学入学共通テストの出願が始まり、送られてきた書類を確認する職員ら=東京都目黒区で2020年9月28日午前9時52分、大西岳彦撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、大学入試センター試験に代わる初の大学入学共通テストが16、17日に実施される。東京や大阪など11都府県では緊急事態宣言下で本番を迎えることになった。試験会場となる大学は感染症対策に追われている。

 「感染症への対応は大変苦慮している」。東京都八王子市の多摩キャンパスが試験会場となる中央大の担当者は準備の苦労をこう説明する。都内の私立大では最大規模となる約2400人が受験する予定だ。

 大学入試センターは発熱やせきなどの症状を訴える受験生がいた場合、医師らが新型コロナ感染の可能性の有無を確認し、該当者には追試の受験申請を案内することを求めている。該当者以外で受験の継続を希望する場合は別室か試験室に戻って受けてもらう。中央大は試験監督者を例年より10人以上増やしたが「試験室や監督者の手配がぎりぎりの状況」だという。

 都内2カ所のキャンパスで計約1500人が受験予定の東京海洋大の大滝正人・入試課長も「体調不良者に対応する教員にどこまでの服装を用意するか悩む。厳重にし過ぎて受験生に心理的なプレッシャーをかけないようにしなければならないが、教員の感染リスクにも配慮する必要がある」とジレンマを口にする。

 「3密」回避にも気を使う。東京海洋大は試験当日の朝、開門を待つ受験生の密集を避けるため開門時間の午前8時半を待たずに門を開けて敷地内へ誘導し、試験室がある各校舎前に分けて待機させる予定だ。

 関西大(大阪府)は最寄りの阪急関大前駅での密集を避けるため、試験終了後は受験生を4グループに分け、10分ずつずらして退出させる。例年、試験前日まで授業で教室を使っていた近畿大(同)は、直前に学内でクラスター(感染者集団)が発生するリスクなどを避けるため13日から入構禁止とした。

 会場の換気に関して、入試センターは1科目終わるたびにできるだけ全ての窓を10分程度以上開けることが望ましいとしている。ただ寒冷地では難しい。北海道大は「全ての窓を10分開けていたら試験室は大変なことになり、逆に受験生の負担になる」(入試担当者)として、一部の窓を数分程度開けるなど室温低下を招かない形で行う方針だ。

 交通機関も試験当日、感染防止対策を取る。例年、試験終了後の帰宅時間帯に臨時列車を往復で3本運行していた多摩都市モノレール(東京都)は密集を回避するため朝に3本、帰宅時間帯は5本に増便する。

 会場周辺では予備校や塾関係者による受験生への「激励」が風物詩となっているが、経済産業省と文部科学省は昨年12月の通知で自粛を要請した。

 国内外に予備校など405校舎を展開するさなるグループ(東京都)は激励に加え、各校舎での壮行会も取りやめた。その分、電話やオンライン会議システムを使った受験生との個別面談で、想定外の問題が出た際の心構えや、万が一体調に問題があった場合の対応などをこれまで以上に細かくシミュレーションさせている。佐鳴予備校旭丘高校前校(名古屋市)の山下幸嗣教室長は「激励には努力をたたえ、平常心で送り出す意味があったが今年はやむを得ない。メンタルの持っていき方は特に綿密に指導している」と話している。

【千脇康平、松本光樹】

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