京アニ放火から半年 「心の負担軽くできたら」 やけど傷痕用のサポーターで被害者家族を支援

京アニ放火から半年 「心の負担軽くできたら」 やけど傷痕用のサポーターで被害者家族を支援

やけどの傷痕の盛り上がりなどを防ぐサポーターを開発した石井寛隆さん。患者の体形や患部の位置に合わせてオーダーメードで作る=愛知県春日井市で2019年12月20日午後2時50分、菅沼舞撮影

 京都市伏見区の「京都アニメーション」第1スタジオが放火され、36人が死亡した事件から18日で半年になる。重軽傷を負った33人の中には、後遺症に苦しむ人も少なくない。愛知県春日井市の義肢装具士の男性は、やけどの傷痕を保護して悪化を防ぐオーダーメードのサポーターを1人の女性に贈った。「やけどの痕は残りやすく、コンプレックスになる患者さんが多い。心の負担も軽くできれば」。他の被害者も支援したいと考えている。

 男性は、義肢やコルセット、リハビリ用具の製造会社を経営する石井寛隆さん(53)。

 ひどいやけどをした場合、傷痕が盛り上がる「ケロイド」になったり、皮膚が引きつったりする。そこに紫外線を浴びると色素が沈着するほか、洋服との摩擦や汗でかゆくなる。早い段階で傷を適度に圧迫すれば、皮膚の盛り上がりをある程度抑えられるが、伸縮性のある包帯を巻く方法は手間がかかり、体を動かしづらくなる。石井さんは25年ほど前、「すっきりと身に着けられるものがほしい」と知り合いの形成外科医に頼まれ、独自のサポーターを開発した。

 サポーターは伸縮性のあるナイロン製で、血流を止めない程度の圧力を広い患部に均一にかけられるのが特徴。体格や傷の状態は一人一人異なるため、患者の元に出向いて石こうで型を取る。型取りにかかる時間は説明も含めて30分程度で、約1週間で完成する。

 石井さんは京都府福知山市で2013年8月、花火大会の露店で爆発が起き小学生ら3人が死亡、55人が重軽傷を負った事故でも7家族13人に提供するなど、約1000人にサポーターを届けてきた。型を取る際、「この先の人生をどう生きればいいのか」などと、医師にも話せない悩みを打ち明けられることもあり、「体だけでなく、心にも大きな傷を負っているんだ」と胸を痛めてきた。本人だけでなく、家族が傷痕を見て長く苦しむケースも少なくないという。

 京アニの被害者の女性とは、家族から問い合わせがあって縁ができた。サポーターは数千〜数万円で販売しているが「何の落ち度もない人が故意に傷つけられており、お金をもらうのはおかしい」と、無償で提供することにした。なるべく早い段階からサポーターを使うとより効果があるものの、まだ1人としか接点がないという。

 露店爆発事故で妻と長男が重いやけどをした京都市の盛本英靖さん(53)は「妻は2年間着けて効果を感じた。傷が消えることはないが、京アニの人たちもサポーターで悲しみが少しでも和らぐといいと思う」と話す。

 問い合わせは、石井さんが経営する「ワールドブレース」(0568・52・3535)。【菅沼舞】

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