人工内耳、福岡市が助成 自治体で異なる制度 保護者「国で統一を」

人工内耳、福岡市が助成 自治体で異なる制度 保護者「国で統一を」

人工内耳を装用した子どもと遊ぶ母親。落下防止のためにイヤーモールドを利用している=福岡市中央区で、杣谷健太撮影

 福岡市は2019年11月から、音を電気信号に処理する装置(音声信号処理装置)などの人工内耳の体外器の交換や修理費の一部を助成する制度を始めた。これまで県内の市町村の一部が助成していたため、福岡市在住の人工内耳を装用する子を持つ保護者は喜ぶ。ただ、自治体によって助成費や助成対象が異なっており、保護者は「国で統一してほしい」と訴える。【杣谷健太】

 「『大事に扱って』と言っても子どもだから壊してしまう可能性があるので、不安だった」。右耳に人工内耳を装用する3歳の長男を持つ南区の伊藤由里子さん(22)は福岡市でも助成が始まったことを喜ぶ。

 人工内耳は手術で内耳の蝸牛(かぎゅう)に電極を埋め込み、音声を電気信号に変換して脳に伝える。体外器が破損した場合は健康保険が適用されるが「単なる交換」の場合は適用外。人工内耳友の会「ACITA」(相模原市)によると、体外器が修理不能の場合にのみ健康保険が適用となり、交換に保険が適用されている事例は「皆無に等しい」という。

 福岡市は18年に開いた検討委員会で人工内耳の体外器の助成制度を議論。障害者の日常生活の利便を図るための日常生活用具に追加する形で19年11月から助成を始めた。音声信号処理装置や送信コイルなどヘッドセットの交換は基準額60万円(片耳基準額30万円)、音声信号処理装置の修理は同2万円(片耳同1万円)を助成する。

 「ACITA」によると、福岡市のような体外器への助成は少なくとも220自治体。福岡市が「消耗品」として対象外としている電池や充電器の費用助成は少なくとも160自治体ある。

 ごく一部の自治体にとどまっている体外器の落下防止を目的に使用するイヤーモールド(耳栓)への助成を望む声も強い。子どもは遊び回るためイヤーモールドをしなかった場合、落ちることが多いためだ。両耳に人工内耳を装用する5歳の次男の母親(27)は「イヤーモールドなしでは落ちてしまった」とこぼす。4歳の次女が両耳に人工内耳を装用している野村智恵さん(37)=早良区=は「電池とイヤーモールドを助成してほしい。国で統一して補助がでるようになればいい」と話す。

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