「映える」感性も重視? 若者目線で名所紹介マップ 紀の川市の新人研修

「映える」感性も重視? 若者目線で名所紹介マップ 紀の川市の新人研修

完成した3種類のパンフレットを手にする、紀の川市の新人職員ら=同市役所で2020年3月19日、後藤奈緒撮影

 和歌山県紀の川市が新人職員に対し、ユニークな研修を行っている。新人同士がチームを組んで市内の案内マップを作り、パンフレットにして公表するという取り組みだ。アイデアを形にする企画力が育つのに加え、若者ならではの目線を生かした新たな観光スポットの提案などにもつながる可能性があるという。市人事課の担当者は「若い人の可能性を引き出す研修。経験を市政運営に生かしてほしい」と期待している。

 近年は全国で公務員の減少傾向が続き、紀の川市職員も15年前と比べると約180人減っている。少ない人数で十分な行政サービスを届けるために、以前よりも職員一人一人の「質」を向上させることが求められているという。そうした中、市では2017年度から新たな研修を開始。先輩職員がほとんど手伝わず、新人だけに企画・立案させる「提案型研修」を導入した。

 19年度の新採用職員は19人。提案型研修は同年10月に始まり、全員の話し合いで「市の魅力を発信し、交流人口・定住人口の増加を促進する」「そのために、市内の隠れた名所などを紹介するパンフレットを作る」と方向性が決まった。少子高齢化を解決するには、多くの人が行き交うような街づくりが必要だ、との問題意識が反映された結果だという。

 その後の作業は、3班に分かれて実施。桃の花や夕日が美しい場所▽紀の川沿いなどお薦めのランニングコース▽市内の各神社が掲げる御利益――などを紹介するパンフレットを、班ごとに作成した。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)へ写真を投稿した際に「映える」かどうかなど、場所の選定には若者独自の感性が生かされた。

 さらに、パンフレットに載せた「QRコード」をスマートフォンで読み取ると、インターネット上の地図情報サイトへ案内し、より詳細な情報にアクセスできるようにした。すべて無料のサービスを使い、作業開始から4カ月後の20年1月に完成。人事担当者は「上の世代では思いつかない手法だ」と感心する。研修は新人の成長につながるだけでなく、ベテラン職員の新たな「気付き」にもつながっている。

 研修に参加した水道工務課の井上豊茂さん(25)は「パンフレットやマップを見て、市内外の人が紀の川市に興味を持ってほしい」と力を込める。人事課の研修担当・片山吉史さん(42)は「研修を通して、普段の業務にも生かせる企画・立案が経験できたと思う。若い人の力で市を発展させてほしい」と話している。

 新人職員が作ったパンフレットは、3月末から市のホームページに掲載される。【後藤奈緒】

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