当てたチケットどうなる? オリンピック「延期」広がる困惑 ホテル業界悲痛

当てたチケットどうなる? オリンピック「延期」広がる困惑 ホテル業界悲痛

東京オリンピック開幕までの日時を知らせるカウントダウン時計=東京都千代田区で2020年3月23日午後6時3分、宮間俊樹撮影

 東京オリンピックの行方は――。23日、国際オリンピック委員会(IOC)が延期を含めて検討している方針が明らかとなった。開幕まであと4カ月。福島県から26日に始まる予定だった聖火リレーにも暗雲が垂れこめる。準備を進めてきた関係者やチケット購入者らに困惑や動揺が広がった。

聖火ランナー複雑

 聖火リレーはランナーを走らせるのをやめランタンを巡らす形式が検討されている。リレー初日の26日に故郷の福島県双葉町を走る予定だった声優兼女優の桜庭梨那さん(24)は「新型コロナウイルスは命に関わる問題なので、沿道での観覧の自粛は仕方のない面もあると思っていたが、ランナーが走らない形では思いは伝わらないと思う。もし、そんな形になるのなら、リレー自体を延期してほしい」と話す。

 1964年東京五輪で聖火ランナーに選ばれながら台風で中止になり、今回も走者に選ばれた兵庫県西宮市の上塚勝さん(73)は「先行きが見えず、やきもきしている」。それでも当時の仲間たちと練習を続けている。「我々は既に56年も待ち続けてきた。だからもう1、2年くらい延びてもどうってことない」と晴れ舞台に必ず立てると信じる。【川崎桂吾、峰本浩二】

ツアー「キャンセルの方が多い」

 延期の場合、販売済みのチケットの有効性など取り扱いについて、組織委は「仮定の質問には答えられない。今後の状況に鑑みながら検討する」と明らかにしていない。

 東京都大田区の会社員男性(48)は「一生の思い出として中学生の息子の記憶にも残したい」と応募し、開会式やバドミントン決勝のチケット(総額14万4000円)に当選した。男性は選手や観客の安全を考えて延期もやむを得ないとした上で「当選したチケットでそのまま観戦できるような措置を講じてほしい」と語る。

 チケットと旅行をパッケージで販売している大手旅行会社の関係者は「(感染が)より深刻な報道になってきたここ2週間で当然、申し込みよりキャンセルの方が多い。盛り下がる一方だ」と明かす。【大島祥平、荻野公一】

会場の調整に難題

 「1年後も2年後も既に希望者は複数いる。延期したいと言われても、簡単にどうぞと言える状況ではない」。東京五輪でバスケットボール会場となるさいたまスーパーアリーナの担当者は、延期になった場合の調整の難しさを明かす。

 アリーナの指定管理者によると、五輪に向け6月上旬から2カ月強にわたり組織委に貸し出す予定だった。施設の利用許可は1年前に出す決まり。年内の延期論もあるが、来年4月まで利用予定はほぼ埋まっている。

 2021年7月16日〜8月1日に水泳の世界選手権が予定される福岡市は、延期が1年となれば日程が重なる可能性がある。市は26日にPRサポーターとしてアイドルグループ「HKT48」らを任命し、大会グッズ販売を始める予定で、担当者は「五輪延期も時期によっては影響がほとんどない場合もあり、現時点でいろいろ考えるのは難しい。必要があれば国際水泳連盟と協議しながら対応していく」と話した。【斎藤文太郎、加藤小夜】

「体力ない業者は持たない」

 「延期になったら、体力がない業者は持ちこたえられないだろう」。都内の宿泊業者836社でつくる東京都ホテル旅館生活衛生同業組合の須藤茂実事務局長(67)は嘆く。

 同組合によると、大会期間中は東京都が旅行業者を通じて関係者向けに多数の部屋を押さえており、支払いも済んでいる。延期などに伴い返金することになれば、運転資金が枯渇する業者が出る可能性があるという。

 既に新型コロナ感染拡大の影響で売り上げが半分以下に減った宿泊施設もあり、須藤さんは「国は補助金などの対策を考えてほしい」と訴える。【金子淳】

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