息子の遺品身につけ山に「同じ景色見たい」 那須雪崩事故2年

息子の遺品身につけ山に「同じ景色見たい」 那須雪崩事故2年

追悼式に出席し、現場の茶臼岳を見上げながら手を合わせる鏑木悠輔さんの父浩之さんと母恵理さん=栃木県那須町湯本で2019年3月26日午前11時37分、萩原桂菜撮影

 栃木県那須町の茶臼岳で2017年3月、県立大田原高校の生徒ら8人が死亡した雪崩事故は、27日で発生から2年となる。同校2年だった鏑木(かぶらぎ)悠輔さん(当時17歳)を亡くした父浩之さん(53)と母恵理さん(51)は事故後、山を愛した息子が残したグレーのリュックや青いポーチなどを身につけて登山を続け、面影を追いかけている。

 きっかけは一枚の集合写真だった。悠輔さんが16年7月に南アルプス・北岳に登った際のもので、美しい雲海が写っていた。「いつか家族で登りたいね」。そんな約束を交わし夫婦で山に登るようになった。事故は約束を実現する前に起きた。

 2人は山に登る気になれなかったが、悠輔さんが好きだった登山をどうしても否定できず、事故から3カ月後、茶臼岳に登った。たどり着いた頂上手前で虹色の光の帯「環水平アーク」が見えた。「きっと悠輔が見せてくれた」。3人で登っているように感じた。それから雪のない時期に月に2回ほど山に登るようになった。

 今月、悠輔さんらを引率した教諭3人が業務上過失致死傷容疑で書類送検された。3人は数回、自宅に来て謝罪したが、「事故とどう向き合っているか」を尋ねるとうつむいてしまうなど、納得できる説明は受けられていない。なぜ悪天候の中で雪上訓練を中止する判断ができなかったのか、疑問と悔しさで胸がいっぱいになる。

 県教委などは27日に追悼式を開くが、一部の遺族は「納得できる再発防止策ができあがっていない」として参加しない方針。代わりに26日午前、事故現場近くで遺族ら主催の追悼式を開き、約25人が犠牲者の冥福を祈った。

 出席した浩之さんは「もっと語り合いたかったよ」、恵理さんは「大好きだよ。悠輔の笑顔が見たいよ」と心の中で語りかけながら献花した。この日、2人が登山を始めるきっかけになった集合写真も持参した。今年の夏も写真を携え、「3人」で山に登ろうと思っている。【萩原桂菜】

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