GW最終日まで「まん延防止」 観光業に打撃「風前のともしび」

GW最終日まで「まん延防止」 観光業に打撃「風前のともしび」

「冬のスペシャルプログラム」の報道公開では、キャラクターと距離を保って触れ合う人の姿が見られた=大阪市此花区のUSJで2020年11月12日、山田尚弘撮影

 大阪、兵庫、宮城の3府県で計6市に5日から適用される新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」。期限はゴールデンウイーク(GW)最終日の5月5日となっており、観光産業への新たなダメージは必至だ。「連休直撃は痛すぎる」「風前のともしびだ」。困惑や落胆が広がっている。

 まん延防止等重点措置の対象区域は、大阪府は大阪市、兵庫県は神戸など4市、宮城県は仙台市の計6市。対策の柱は飲食店への時短要請で、対象3府県と他の都道府県との往来の自粛も求められる。観光への影響も小さくない。

 大阪市の人気テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」。昨年は約3カ月間の休園を余儀なくされ、今年1〜2月の緊急事態宣言下では入場者を5000人に絞った。宣言の解除後、3月22日以降は2万人に入場制限を緩和。にぎわいを取り戻しつつあったが、今後は改めて制限を強化するかどうかを検討する。

 GW期間は例年、全国各地から多くの家族連れや学生、外国人観光客が訪れる書き入れ時だ。「安心して遊べる世の中に戻ることを願うしかない」。担当者は言葉少なに話した。

 食いだおれの街として知られる大阪・新世界にある通天閣。運営会社の高井隆光社長(46)は「周囲は飲食店が多いので、地域全体が大打撃だ。連休直撃は痛すぎる」と嘆く。GW期間は1日約5000人が入場する最盛期という。「観光振興と感染対策は両立しにくい。このジレンマと闘い続けるしかない」と話す。

 仙台の奥座敷と呼ばれる秋保(あきう)温泉(仙台市)。例年4、5月は日帰り客を含めて各15万人以上の旅行客が見込まれるが、昨年のGW期間は県の休業要請に基づき、地元旅館組合に加盟する16施設全てが休館に。政府の旅行需要喚起策「GoToトラベル」は一時停止し、再開が見通せない。

 組合の佐藤司事務局長(53)は「経営が苦しい旅館は限界が近い」と危機感をあらわに。「他県からの旅行客が『宮城だけはやめよう』と考えるかもしれない」と不安げだ。

 温泉街の「ホテルニュー水戸屋」によると、GW期間の予約は例年の1割ほど。まん延防止等重点措置の適用が決まり、さらに複数のキャンセル連絡が寄せられた。このままでは2年連続の休館もあり得るといい、「正直厳しい」と担当者は声を絞り出した。

 神戸市の有馬温泉にある老舗旅館「陶泉 御所坊」は、チェックインをタブレットで受け付けるなど、感染対策を徹底している。金井啓修(ひろのぶ)社長(66)は「状況を見守るしかない」と語る。

 東京都江戸川区の旅行会社「江南トラベル」の荒井幹夫社長(60)は「連休に期待していたのに残念」と肩を落とす。例年はGW期間に国内旅行を50〜60件ほど扱うが、都内で緊急事態宣言が解除された3月21日以降、団体旅行は1件入っただけだ。政府の一時支援金60万円は支給されるものの「減少した売り上げの穴埋めには到底及ばない。中小の旅行会社は風前のともしびだ」と頭を抱える。【井口慎太郎、木下翔太郎、内橋寿明】

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