一部住民ら「その施設、必要?」 田園調布の公園再整備

一部住民ら「その施設、必要?」 田園調布の公園再整備

田園調布せせらぎ公園内に新設された交流・文化拠点「田園調布せせらぎ館」=東京都大田区田園調布1で、2021年1月22日午後1時21分、川村咲平撮影

 東急東横線・多摩川駅前にある「田園調布せせらぎ公園」(東京都大田区田園調布1)の再整備が進んでいる。地域住民の交流・文化拠点として「田園調布せせらぎ館」がこのほど開館し、今後は体育施設の新設計画が本格化する。ただ、豊かな自然環境への影響や区の対応に不安を抱く一部の住民からは反対意見も出ている。【川村咲平】

 せせらぎ公園の場所には、かつて「多摩川園」遊園地があり、その後民間のテニスクラブだった土地を区が買い取り、2008年に公園を開設した。約3万5000平方メートルの敷地内には、2カ所の湧水(ゆうすい)池や四季折々の樹木豊かな自然が広がる。

 1月にオープンしたせせらぎ館は、世界的建築家の隈研吾氏が設計した。鉄骨2階建てで、総工費は約20億7000万円。1階は図書の閲覧スペースや、サークル活動向けの多目的室がある。2階は集会室で、室内は木材をふんだんに使い、ガラス張りの向こうには公園の緑が広がる。

 施設の建設をめぐっては、地元町会から要望が上がった一方、一部の地域住民が「多くの樹木が伐採される」と反対し、市民団体を設立した。同団体によると、約3600筆の署名を集め、整備中止を求めて区や区議会に陳情を重ねた。開館当日も、施設前でビラを配って抗議した。安永正子代表は「木陰をゆっくり歩ける散歩道がなくなり残念。自然保護を最優先にする区の方針と正反対だ」と問題視する。

 区によると、今回の整備に伴い、樹木約400本と植え込み274平方メートル相当を伐採したとしている。区の担当者は「樹木医の診断を基に極力移植し、整備に必要な最低限の伐採を行った」と話す。

 区は今後、公園南側に体育施設を整備する予定。以前から区の計画に位置づけられ、地域からの要望もあったためで、区は住民を交えたワークショップを既に終え、建設に向けた設計を始める。

 ただ、多摩川の氾濫や湧水による浸水を懸念し、防災上の理由から反対する声もある。安永さんは「地元の合意が得られたとは言えない。コロナ禍で財政事情が厳しい中、今の計画が本当に必要な施設か検証すべきだ」といい、2月にも住民協議会の設置を求めて区議会に陳情書を出した。今後も計画見直しを区に訴えるという。

関連記事(外部サイト)