被災ピアノ、復興の音色 九州豪雨で浸水 尼崎の団体が修復支援

被災ピアノ、復興の音色 九州豪雨で浸水 尼崎の団体が修復支援

浸水被害を受けたピアノを修復した遠藤洋さん(右から3人目)と山中裕貴さん(同2人目)=熊本県球磨村で(MOVE提供)

 兵庫県尼崎市のボランティア団体「MOVE」(ムーブ)が2020年7月の九州豪雨で浸水した熊本県球磨村立渡小のグランドピアノを修復した。3月21日の記念式典で地域住民や児童らを前に演奏が披露され、同23日の卒業式では校歌斉唱の伴奏に使われた。ムーブの代表、山中裕貴さん(32)は「被災の現状を伝えるとともに、村の復興の希望となる音色を奏でてほしい」と願っている。

 和太鼓奏者の山中さんは11年3月の東日本大震災以降、被災地でボランティア活動や演奏を続けていた。九州豪雨では、現地で泥の片付けなどを手伝った。20年9月には、山中さんの活動に賛同した同級生7人も集い、ムーブをつくった。

 支援活動の中で、1階が水没した渡小の体育館で、横倒しで泥だらけになったピアノがあることを知った。児童は村内の別の小学校の敷地に設けた仮設の教室に通学していた。山中さんらは「元の学校には戻れないかもしれないが、ピアノを修理して卒業式で校歌を歌い、思い出にしてほしい」と考えた。

 大手メーカーには修理を断られたが、東日本大震災の津波に遭ったピアノを修復した福島県いわき市のピアノ調律師、遠藤洋さんが依頼を快諾した。クラウドファンディングで集めた約254万円を使って、いわき市に運び、部品の分解洗浄など約3カ月間の作業で復活した。

 地域住民や児童ら約250人が集まった3月21日の式典ではピアニストによる演奏などが披露された。ムーブの上田拓真さん(32)は「孫が小学校に通うおばあちゃんから涙ながらに『ありがとう』と言ってもらえた」と振り返る。同23日には復活の音色が卒業生13人の門出を祝った。山中さんは「子供の元気や笑顔が村の復興につながると思う。ピアノがそのきっかけになればうれしい」と話した。【宮本翔平】

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