ウミガメ博士の遺志、僕らが守る 高知・春野西小で引き継ぎ授業

ウミガメ博士の遺志、僕らが守る 高知・春野西小で引き継ぎ授業

子どもたちにウミガメの保護活動について説明する熊沢さん=高知市で2019年6月13日、郡悠介撮影

 春を迎え、今年もウミガメの産卵時期が近づいてきた。「命の授業」の一環として毎年4年生がウミガメの保護活動を続けている高知市立春野西小学校(同市春野町弘岡中)ではこのほど、活動の引き継ぎ授業を行った。これまで同小の授業に協力してきた地元の“ウミガメ博士”の男性は昨年秋に亡くなったが、児童たちは「これからも自然を大切にする」と話し、男性の遺志を守ることを誓っている。【郡悠介】

 「アカウミガメの名前の由来は、貝類を食べることで体脂肪が赤く変化するからです」。3月中旬の午後、春野西小の教室に当時の4年生と3年生が集まった。4年生が「カメちゃん新聞」などと題して文字や絵を入れた模造紙を数人の班ごとに持って出て、目の前の3年生にウミガメの生態や飼育方法について説明。「アカウミガメは5〜7月の夜に上陸して卵を約120個生みます」などと紹介し、3年生は興味津々の様子で耳を傾けた。

 春野西小はウミガメが産卵する沿岸部の近くに位置する。命の大切さを学ぶ教育の一環で、4年生がウミガメの採卵やふ化、飼育、放流などの保護活動に携わる。年度替わりの毎年3月に、4年生が3年生に引き継ぐ式や授業を行う。現在は校内の水槽で2匹のアカウミガメを飼っており、今夏に海へ放流する予定だ。

「命の尊さ学ぶこと大切」

 採卵から放流までの活動を主体的に手伝ってきたのが、近くの塗装業、熊沢佳範さんだ。熊沢さんは約20年前からウミガメの保護活動に携わり、他の小学校でも同様の協力を続けてきたが、昨年秋、病気のために76歳で亡くなった。生前には「電気で動くものが多い時代だからこそ、子どもたちが命の尊さを学ぶことは大切」と語っていた。

 春野西小では熊沢さんの死を悼み、前年度の4年生39人が思い出をまとめたアルバムや手紙を作成。手紙には「初めはウミガメが苦手だったけれど、熊沢さんのお陰で好きになった」「海に絶対ごみを捨てません」と感謝のメッセージなどを書いた。アルバム作成に携わった徳弘光海(こう)さん(10)は取材に「熊沢さんはウミガメの生態や餌のやり方を教えてくれた。優しくて元気いっぱいの方だった」と思い出を振り返った。

 同小は今後も、地域住民らの協力で飼育などの保護活動を続けるという。前年度まで4年生を担当していた山崎雅子教諭は「(引き継ぎの授業では)熊沢さんから学んだことを新5年生が新4年生に伝えられた。これからも命の尊さや生きることの素晴らしさを子どもたちに知ってほしい」と期待している。

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