どうなる京都「北山エリア」再開発 府立植物園改修に反対運動も

どうなる京都「北山エリア」再開発 府立植物園改修に反対運動も

京都府が標本庫やミュージアムショップなどの開設を検討している府立植物園=京都市左京区で2021年2月19日午後5時46分、添島香苗撮影

 京都府立植物園や府立大がある「北山エリア」(京都市左京区、約38ヘクタール)を巡り、府が再開発計画を進めている。100年近い歴史を誇る植物園も改修し、レストランやミュージアムショップなどを併設する予定だ。一方、園芸関係者は「植物園の面積が縮小される」として、計画反対の署名活動を開始。京都有数の閑静な住宅街が広がる北山の行方は――。

 府立植物園は1924(大正13)年の開園で、広さは約24ヘクタール。約1万2000種の植物が植えられ、「ばら園」「あじさい園」など植物ごとのエリアや「梅林」「針葉樹林」などの森、熱帯の植物などを栽培する「観覧温室」などの施設を備えている。年間の入場者数は約85万人(2019年度)と府民の憩いの場ともなっている。

 府が2020年12月に作成した「北山エリア整備基本計画」によると、賀茂川や北山通りなどに囲まれた北山エリアには植物園や府立大のほか、府立京都学・歴彩館、京都コンサートホールなどの文化施設が集まり、自然環境にも恵まれている。その半面、「各施設が区切られ、往来しにくい」「にぎわいや交流施設が少なく、エリア内に滞在しにくい」などの課題があり、魅力向上のため、計画を進めるとしている。

 具体的には、約1万席のメインアリーナを備えた府立大、府立医科大、京都工芸繊維大の共同体育館を設置。劇場や展示場を備えるシアターコンプレックスの建設も検討しており、21年3月末から事業者を公募している。

 特に、エリア面積の6割超を占める植物園は、標本庫や図書室を設けて教育・研究機能を高めるほか、園西部の賀茂川沿いなどにレストランやミュージアムショップなどを設置。店内からも入園できるような構造にし、川沿いを歩く人を園内に呼び込めるよう、往来しやすくするという。

 一方、園の賀茂川沿いの部分は現在、非公開の「バックヤード」となっており、温室の温度管理に不可欠なボイラー室や水道・電気設備がある。展示会に向けて栽培中の植物や、希少な植物を管理するハウスも複数並び、資材を運ぶ大型車などの搬送口にもなっている。園関係者は「園の心臓部でもあり、国際的にもバックヤードの広さが園のレベルを表す」と強調する。

 これらの施設を別の場所に移設しようとしても、温度管理が必要なハウスはボイラー室の近くに配置しなければならないなど、容易ではない。府はバックヤードについて「重要性は承知しており、別の場所に確保したい」と説明するが、代替用地などについては「今後、議論していく」と述べるにとどまる。

 これに対し、東アジア野生植物研究会を主宰する園芸家の森和男さん(71)=兵庫県三田市=は「府の計画は植物園の在り方を、ないがしろにするようなやり方だ」と懸念を示す。森さんが事務局となり、計画に反対する署名活動を始めており、呼び掛け人には大学関係者や各地の植物園の園長なども並ぶ。森さんは「京都に植物園のある今の環境を残すことが、京都の文化そのものだ」と訴えている。【添島香苗】

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