大都市圏初の聖火リレー、観客密集 名古屋、「最大の警備」でも

大都市圏初の聖火リレー、観客密集 名古屋、「最大の警備」でも

名古屋市の繁華街で聖火リレーが行われ、沿道に集まった大勢の人たち=名古屋市中区で2021年4月5日午後7時45分、佐々木順一撮影

 東京オリンピックの聖火リレーは5日、愛知県に入り、元サッカー日本代表の楢崎正剛さん(44)らが、名古屋市中心のデパート街など11区間を走った。大都市圏を通るのは全国初とあって、県実行委員会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため「最大の警備態勢」で臨んだが、トーチを間近で見ようと、各地で観客が密集した。

 名古屋市では、熱田神宮境内や名古屋駅前の超高層ビル「ミッドランドスクエア」の屋内でも走行。同駅前の観光名所「ナナちゃん人形」周辺では、警察官が歩道を確保するため、立ち止まっている人を走路際に誘導し、人だかりが増えた。1964年の聖火リレーも見たという同市中村区の主婦、水谷和子さん(71)はマスクを二重にして参加。「一生のうちにもう見られないと思い、感染は怖かったが見に来た。前回は神聖な様子だったが、今回は手を振ったりしてイメージと違った」と話していた。

 夜の最終区間では、松坂屋や三越など百貨店が集まる栄地区の目抜き通りを午後7時半過ぎにスタート、東海地方随一の繁華街「錦三」や官庁街を通って名古屋城天守閣の足元まで、約3キロを走破した。

 県実行委はランナー通過の数時間前から10〜20メートル間隔で警備スタッフを配置。「距離を保って」と記したプラカードを掲げ、観客に前後左右1メートルを空けるよう促した。また「密」対策で片側2車線を観客用に開放したが、通勤・通学や買い物客の帰宅時間帯と重なり、身動きがとれないほど混み合う場所も。

 ランナーの通過に合わせて大勢の観客が一緒に移動し、「密」が激化。係員が拡声器で「並走しないで」と声を張り上げたが、人の流れは止まらなかった。家族で見に来た同市千種区の大宮艶子さん(75)は「感動したが、想像より人が多く、ランナーが近づくほど人が増えて、家族とはぐれたほど。高齢者は控えた方がよかったかと、今になって思う」と一息ついた。

 同市熱田区の女子大学生(19)は友人と下校途中に見た。「コロナは少し怖かったが、一生に1度だし、屋外なので大丈夫と思って来た。聖火はきれいで燃えるにおいまで漂ってきた。いよいよ五輪が始まると感じた」。午後7時から待っていたという同市中区の水野八重子さん(77)は「たくさん人が集まってきて間隔をとるのは難しかった。声援したかったけれど、こらえて心の中で応援した」と話した。

 最終走者は青色発光ダイオード(LED)の開発で2014年にノーベル物理学賞を受賞した名古屋大教授の天野浩さん(60)。プロフィギュアスケーターの村上佳菜子さん(26)から聖火を受け取った天野さんは、1日亡くなった恩師で共同受賞者の赤崎勇・名大特別教授をしのび、名古屋城内約200メートルをゆっくりと「追悼ラン」した。

 走り終えた天野さんは「赤崎先生はおもてなしの心で国際会議をしていたので五輪も喜んでいるはず。今は天国で見ていただけていると思う」と学生時代からの恩師への感謝を語った。【川瀬慎一朗、森田采花、高井瞳、酒井志帆】

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