川棚のクスの森、樹齢は千年超 枯死の危機脱し「胴吹き」 下関

川棚のクスの森、樹齢は千年超 枯死の危機脱し「胴吹き」 下関

幹の部分から多くの芽が成長する「胴吹き」が起きている川棚のクスの森=山口県下関市豊浦町で2021年3月17日午前9時54分、佐藤緑平撮影

 樹勢が衰えて枯死が懸念されていた山口県下関市豊浦町川棚の国指定天然記念物「川棚のクスの森」の幹部分から新芽が現れる「胴吹き」が続いている。大きく延びる枝の先端部分からはほとんど緑が失われたが、推定樹齢1000年以上とされるクスの森の新芽に関係者は樹勢回復への期待を寄せている。【佐藤緑平】

 クスの森は1株だが、枝を四方に広げる独特の樹形から「森」の名が付いた。1922年に天然記念物に指定され、多いときは年間約7万人が訪れた。

 異変が現れたのは2017年7月。住民が一部の枝葉が枯れていることを発見し、冬ごろまでに大部分が落葉した。県樹木医会の診断で、根に大きな問題が生じていることが判明した一方、原因は高温・小雨だった気象条件や、12年に実施した樹木周辺の環境整備工事など複数の要因が重なったとみられ、特定には至らなかった。

 「実際、かなり厳しい状況だった」と樹木医の一人、森和義さんは振り返る。衰退の原因が特定できない中、急激な環境の変化を伴う措置は樹木にとって逆効果となる恐れもあった。樹木医や有識者を交えた協議の末、選んだのは「水圧穿孔(せんこう)」と呼ばれる方法だ。衰退した根が再び水分や養分を吸収できるようになることを期待し、水圧で穴を掘って土壌の通気性や透水性を高める方法を続けつつ、経過観察してきた。

 こうした関係者の努力の中で「胴吹き」は旺盛になったり、衰退したりを繰り返したが、徐々に安定してきた。枯れた部分は元には戻らず、樹形をこのまま維持することはできないが、現在は完全枯死の危機は脱したとみられている。森さんは「幹の太さだけでも立派な樹木ですから、生き続けてくれたらひょっとしたら元の樹形に近いものに戻る可能性もある。(長い期間がかかるため)我々はそれを見ることはできないが、それを願って作業をしています」と期待を込めて話した。

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