裁判員制度10年 「市民感覚を大切に」 模擬裁判に学生ら参加

裁判員制度10年 「市民感覚を大切に」 模擬裁判に学生ら参加

裁判員席で被告らの話を聞く岩本記者(左端)=徳島市徳島町1の徳島地裁で、2019年5月14日午前11時58分(代表撮影)

 「国民の司法参加」を狙いとした裁判員制度導入から、21日で10年を迎える。今年3月末までに76人の被告を裁いた徳島地裁では、制度への関心を高めて裁判参加への不安を除こうと14日、模擬裁判を開いた。日ごろ、傍聴席から被告や検察官、裁判官らのやり取りを取材している記者も、裁判員役として参加した。【岩本桜】

 模擬裁判は、妻が自宅で夫を背後から包丁で刺したという殺人未遂事件を裁く想定で、徳島大の学生や報道関係者約30人が参加した。刺した事実関係に争いはなく、量刑が争点となった。参加者からは抽選で裁判員と補充裁判員、計8人が選出された。裁判員席に初めて座ると「被告の人生はこちらの判断にかかっている。裁判員として正しい判断を下さなければ」と緊張感を覚えた。

 冒頭陳述などの手続き後、裁判官や裁判員は別室に移り、量刑などを決める評議に入った。その際、坂本好司裁判長から出た「評議での乗り降りは自由」という言葉が印象的だった。評議では他の意見を聞いて、自分の意見を適時変えてもよいという考えだ。「自分の意見がぶれてはいけない」と身構えていたが、柔軟に考えを変えることで評議が深まると気づいた。

 裁判員からは「妻は夫から日々暴行を受けていたことも考慮すべきでは……」「傷の程度などから、強固な殺意があった」などの意見が出た。意見が出尽くすと、裁判官を含む11人が執行猶予付き判決か実刑判決、適当と思う懲役の刑期を紙に書き、裁判官が読み上げた。

 実刑は9人の主張で決まったが、刑期は4年〜1年3月とばらばらで、過半数意見は無かった。このため、坂本裁判長が2番目に多かった3年6月(3人)を提案すると、4年を主張していた4人も納得して過半数に達し、約1時間半の評議を終えて、懲役3年6月の実刑判決が決まった。

 裁判員として参加した総合科学部2年の島孝嘉さん(19)は「参加前は、理性と感情のどちらを優先させるか疑問だったが、市民としての感覚を大切にして自分の意見を出せた。制度はあった方が良い」と話した。

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