川辺川ダム緊急放流資料、熊本県も破棄 整備局へ「公表慎重に」

川辺川ダム緊急放流資料、熊本県も破棄 整備局へ「公表慎重に」

川辺川ダムの水没予定地。予定地にあった民家は高台や村外に移転した=熊本県五木村で2020年11月19日、吉川雄策撮影

 熊本県の川辺川で国が建設を検討しているダムの異常洪水時防災操作(緊急放流)に関する試算資料を、国土交通省九州地方整備局が破棄した問題で、資料の提供を受けていた県も破棄していたことが県への取材で明らかになった。整備局は2020年7月の九州豪雨の1・3倍以上の雨で緊急放流することになると試算していたが、県側が「地元が心配する」として公表には慎重を期すよう整備局側に求めていたことも判明した。

 試算資料は九州豪雨の際に流域で50人が死亡した球磨川の治水対策を話し合う協議会の第2回会合(20年12月18日)に先立ち、整備局が県や流域市町村側に提示した。しかし、整備局は第2回会合に資料を出さず、毎日新聞の開示請求に対し「破棄した」と3月31日付で回答。ところが、こうした経緯を毎日新聞が5月3日に報じた後の11日になってホームページで試算結果を公表した。

県「使わない資料、破棄は問題ない」

 県球磨川流域復興局の水谷孝司局長は取材に、第2回会合前の打ち合わせで国から資料を提供されたことを認めた上で「途中段階の資料だったので処分した。知事には説明しなかった。使わない資料なので(破棄は)公文書管理上も問題ない。廃棄時期はよく覚えていない」と語った。また「地元が心配するような内容は慎重に出した方がいい」と整備局に伝えたことも明らかにした。

 一方で緊急放流については「住民の関心が高く、しっかり検証した方がいい。ダムの大きさや構造などがある程度固まったら『こういう場合はこうなる』と正しい情報を伝えた方がいいと思っている」と語った。

 整備局河川計画課の山上直人課長は、慎重を期すようにとの県側からの要望について「要請があったとは承知していない」とし、公表せず資料を破棄したのは「あくまでも整備局の判断だ」と強調した。

 九州豪雨では球磨川上流の市房ダムで緊急放流寸前まで水がたまり、流域住民からは川辺川の新たなダムについても緊急放流を不安視する声が出ている。蒲島郁夫知事は20年11月に県議会でダム容認を表明した際、「ダムの効果やリスクについての正しい理解を流域の皆様からも得られるよう、説明責任を果たす」と述べていた。【城島勇人、平川昌範】

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