当初目標額の3倍 ミニシアター支援のCFに3億3000万円超

当初目標額の3倍 ミニシアター支援のCFに3億3000万円超

全国118の劇場が参加した「ミニシアター・エイド基金」

 映画監督の深田晃司さんと浜口竜介さんらが発起人を務める「ミニシアター・エイド基金」のクラウドファンディング(CF)が締め切られ、当初目標の約3倍となる3億3102万5487円を集めて終了したことが分かった。支援者数は2万9926人で、支援金は基金に参加した全国118劇場(103団体)に分配される。手数料などを差し引き、1団体あたりの平均額は306万円となる。【西田佐保子】

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休館を余儀なくされ、存続の危機にある全国の小規模映画館(ミニシアター)の緊急支援を目的として立ち上げられた「ミニシアター・エイド基金」。深田監督と浜口監督は、全国の劇場にコンタクトを取り、基金への参加を促したという。多くの監督や俳優ら映画人たちも賛同し、俳優の役所広司さん、のんさん、監督の黒沢清さん、山戸結希さんらが応援コメントを寄せた。また、CFのリターン(見返り)の一つが配信サイト「サンクス・シアター」での視聴だが、今泉力哉監督、沖田修一監督ら多数の監督が、通常DVDやデジタル配信で見られない貴重な作品を同シアターに提供した。

 CFは、4月13日午後1時にスタート。当初目標額としていた1億円には4月15日21時45分に到達し、新たに「ストレッチゴール」を3億円に定めた。4月28日に2億円、5月14日には3億円を達成した。当初は14日を締め切りとしていたが、アクセス集中によるサーバートラブルが発生したため1日延長。15日も一時サーバーがダウンするなどしたが、午後11時59分に終了した。

 CF終了後、浜口さんは「『ミニシアター・エイド基金』がたとえつかの間であっても、劇場運営者にとっての精神安定剤となり、そこで働く人たちの暮らしを支えるお金となることを、心より願っています」とコメント。深田さんは「今回、コロナ禍を生き抜く力をもらったのはミニシアターだけではない、映画に携わる私たち全員なのだと。なので、力をもらったひとりとして、堂々と言わせていただきます。本当にありがとうございました!」と感謝の意を表した。

 基金に参加するポレポレ東中野(東京都中野区)と下北沢トリウッド(同世田谷区)の支配人、大槻貴宏さんは「本当にうれしいです。映画館の『延命』ではなく、『新たなサービスや挑戦』に使わせていただきたいと思っています」と話した。

 今回、目標の3億円を達成したことはもちろん、映画館という暗闇の中で隣り合わせていたかもしれない、映画監督、俳優、映画館スタッフ、そして映画ファンらが「ミニシアターを守りたい」との思いでつながったことも、大きな成果の一つではないだろうか。

 ただ、緊急事態宣言が解除され、映画館の営業が再開しても、人が劇場に戻ってくるとの楽観はできない。新型コロナウイルス感染拡大防止のため座席数を少なくするなどの対応を迫られ、劇場の経営は厳しい状況が続くだろう。映画文化の多様性を担う劇場をいかに守っていけるか――。ミニシアターのありがたみを再確認したこれからも、考え続けていかなくてはならない。

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