「清酒特区」認定の佐渡島で醸造体験プログラム開始へ 「島の活性化貢献したい」

 老舗の酒造会社「尾畑酒造」(新潟県佐渡市)は、少量での清酒造りが可能となる「清酒特区」制度を利用し、5月下旬から新たな酒造りを開始する。佐渡島の廃校を再利用した「学校蔵(がっこうぐら)」を使い、7月には観光客向けに醸造体験プログラムを予定している。現在は新型コロナウイルスの影響で島外との往来はほとんどできない状態だが、平島健社長(55)は「なんとか夏までには収束してほしい。多くの観光客に体験プログラムに参加してもらって、島の活性化に貢献したい」と話している。【岡大介/統合デジタル取材センター】

 清酒特区は2019年12月、構造改革特別区域法の一部を改正して新設された。これまでは複数の場所で清酒を醸造する免許を得るには、同じ敷地内や近接の場合を除き、製造所ごとに年間60キロリットル以上を生産する必要があった。

 しかし特区内では、既に免許を持っている事業者ならば本家の大規模な酒蔵のほかに、60キロリットル未満の小規模な清酒工場の設置が可能になった。

 新潟県佐渡市は3月、大分県宇佐市とともに清酒特区に認定された。そして尾畑酒造は5月10日付で、「本家」の酒蔵から約8キロ離れた学校蔵での清酒造りを認められた。体験型観光の目玉として、訪日外国人などを呼び込むのが狙いだ。

 学校蔵での酒造りそのものは、実は14年から毎年行ってきた。ただ、製造量が年間60キロリットル以下のため、清酒の基準を満たさない、香り付けした「リキュール」に仕上げていた。6年をかけて「清酒造り」が実現し、尾畑酒造の平島社長は「これで『日本酒で地域活性化』という目的を、よりすっきりとわかりやすく打ち出せるようになった」と意気込む。

 体験プログラムでは、こうじ、蒸し米、水をタンクに3回投じて発酵させる「三段仕込み」と呼ばれる作業などをしてもらう予定だ。平島社長は「地元産のコメの手触り、ぬくもりを直接感じてもらいたい。器具を清掃して清潔に保つことなど、日本酒造りの肝となる地味な部分も全部見てもらいたい」と語る。

 だが現状は新型コロナの感染拡大防止のため、島外との往来については自粛が求められている。今年の製造体験では7月にタンク2本分について1週間ずつ行う予定だが、それまでに状況が改善しているかは不透明。これまでは国内の業界関係者や日本酒ファンらだけでなく、米国、カナダ、豪州、香港や台湾など海外からの参加者が目立っていたが、今年は困難が予想される。

 もし7月にスタートできなければ、申し込みがあった受講者向けにオンラインでの「授業」や、工程を体験者目線で録画した動画をユーチューブに配信することを検討している。

 平島社長は「初年度からきちんとした形で体験の機会を提供したいが、状況が許さなければせめて『コロナ収束後には佐渡に直接来たい』と思ってもらえるような、来年以降につながる努力をしたい」と語った。

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