日本酒蒸留「ジン」が人気 発祥の地長崎から“スピリッツ”込め

日本酒蒸留「ジン」が人気 発祥の地長崎から“スピリッツ”込め

ジンを造る蒸留器の隣に立つ長野剛士さん。奥は日本酒の酒蔵=長崎県佐世保市の梅ケ枝酒造で、今野悠貴撮影

 長崎県佐世保市の老舗蔵元、梅ケ枝酒造が日本酒を蒸留したジン「令月(よきつき)」を開発・販売し、人気を集めている。県産の米と果実を使った爽やかな甘い香りが特徴。海外産が有名なジンだが、国内初のジンは江戸時代に長崎で造られたという。同社は、長崎発のジンに“ジャパニーズ・スピリッツ(精神)”を込める。【今野悠貴】

 梅ケ枝酒造は1787年創業。日本酒を主に扱う同社が異色の酒造りに挑んだのは、ジンの国内製造の発祥地が長崎であることに由来する。同社によると、18世紀前半、「出島」に滞在したオランダ人のために長崎奉行所の役人が造ったことが発端という。

 発案した長野哲也社長(47)の弟、剛士さん(44)は「約200年前の先人の思いを引き継ぎ、再び長崎県からジンの歴史を作りたかった」と語る。県内産の材料にこだわり、県工業技術センターで試作を重ねた。

 ジンは、ウオッカやテキーラなど度数の高い蒸留酒の一種。一般的なジンは、大麦やジャガイモなどの穀物を蒸留した純粋なアルコールを使い、果実などで香りをつける。国内で造る場合は焼酎をベースにすることが多く、日本酒は珍しいという。

 日本酒は時間がたつと「老香(ひねか)」という劣化臭がするため、絞って1週間以内に蒸留する。酒造りは秋から冬にかけて。繁忙期にジン造りも加わり、作業は忙しいが、長野社長は「米のフレッシュさが令月の命」と話す。

 「ボタニカル」と呼ばれる香りづけは、県産のレモンやびわなど5種類の果実と梅の枝を使用した。口に含むと、かんきつ系の香りの後にびわの甘みが鼻に抜ける。

 売れなければ海外への輸出も考えていたが、2019年10月末に1000本(1本720ミリリットル)を初出荷するとすぐに完売。20年1月にも同数を出荷してほぼ売り切れるなど評判は上々だ。

 ジンを1000本造るために必要な日本酒は約2700本(同)に上る。長野社長は「コスパ(コストパフォーマンス)は悪いが、日本酒の新たな可能性も見えてきた」と自信をのぞかせる。

 「令月」は720ミリリットルで3300円(税込み)。酒屋で注文できる他、同社ホームページでも購入できる。問い合わせは同社(0956・59・2311)。

関連記事(外部サイト)