アンネのメッセージ届けて25年 広島の「ホロコースト記念館」リニューアル

アンネのメッセージ届けて25年 広島の「ホロコースト記念館」リニューアル

「アンネの問いかけから学べることがある」と話す大塚信館長=広島県福山市御幸町のホロコースト記念館で2020年4月15日、関東晋慈撮影

 広島県福山市御幸町の「ホロコースト記念館」が、新型コロナウイルス感染拡大の影響による臨時休館中に展示内容をリニューアルし、19日再開する。6月には開館25周年の節目を迎える。大塚信(まこと)館長(71)は「アンネ・フランクが隠れ家で日記につづった平和のメッセージを受け取りに来てほしい」と呼びかけている。【関東晋慈】

 ナチスドイツのユダヤ人虐殺をテーマにした記念館は1995年6月、大塚さんが牧師を務める聖イエス会御幸教会の敷地内に旧館が開館した。「アンネの日記」で知られるアンネ・フランクの父オットーさんに出会った大塚さんが、世界中のホロコースト生還者や遺族から強制収容所の遺品や当時の写真などを集めて展示した。

 2007年には現在の場所に寄付で新館を建設。福山市の建築家、前田圭介さんが設計し、アンネがアムステルダムで身を隠した屋根裏部屋を再現し、屋外にはバラ園も配置した。これまでの来館者は約18万人に上る。

 ホロコーストの犠牲者は600万人とも言われ、うち150万人が子供とされる。アンネは15歳9カ月の生涯だった。大塚さんは「展示品はオットーさんら世界60カ国から託された。一人一人の人生や命を伝える宝石のようなもので、その数だけストーリーがある」と話す。

 19年12月にもアンネの遺族から亡命前に使っていた食器などが届き、開館25周年に合わせたリニューアルで1階に展示した。「1階で平和で楽しかった時代の展示に触れた後、2階にあるアンネの部屋や犠牲になった子供の靴などを見てもらい、悲劇が起きた理由に思いを巡らせてほしい」という。

 大塚さんは、新型コロナに対する不安や日常生活が制限される息苦しさから、心ないうわさや中傷が広がることにも心を痛め、アンネが隠れ家で日記につづった「なぜ人間は、お互い仲良く平和に暮らせないのだろう」の一節を引用してこう話す。「この少女の言葉が今まさに我々に問われている。被害意識ではなく、広い視野から事実を見てほしい。アンネの問いかけの答えがこの記念館にはある」

 入館無料。午前10時〜午後5時。日、月曜、祝日は休館。

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