開業医と飲食店がタッグ 医療スタッフに弁当無料宅配 「士気上がる」「力わいた」福岡

開業医と飲食店がタッグ 医療スタッフに弁当無料宅配 「士気上がる」「力わいた」福岡

食支援のプロジェクトを企画し、医療仲間に弁当を届ける吉田信一さん(左)=福岡市内で、青木絵美撮影

 福岡市の開業医が地元のレストランなどとタッグを組み、新型コロナウイルス患者を受け入れる医療機関のスタッフにできたての弁当を無料で届ける活動を始めた。新型コロナの感染拡大で多忙を極める医療現場の最前線に立つ医師らの健康を考えて腕を振るった弁当には「士気が上がる」と感謝の声も届く。

 企画したのは早良区のクリニック理事長、吉田信一(のぶくに)さん(48)。4月中旬、コロナ患者を受け入れる市内の病院に勤務する知人の救命救急医と連絡を取った際に「昼食に出られず、周辺の店も休業していて出前が限られる」と食事面の窮状を聞いたことがきっかけだった。

 「命の最前線に立つ救命救急の現場スタッフが十分な栄養を取れていなければ集中力や体力が落ち、感染にもつながりかねない」。熊本地震などの被災地支援に携わった経験もある吉田さんが、親交のあるレストランなどの飲食業者に協力を求めたところ、約20の業者が弁当作りを快諾。自身のフェイスブックで知人にも協力を呼びかけ、業者側に支払う弁当代に充てる寄付も集まり始めた。

 弁当の届け先は、福岡市を中心に新型コロナウイルス感染患者を受け入れながら救命救急センターを運営する8医療機関で働く医師や看護師ら。吉田さんが医療機関側と飲食業者の間に立って弁当の数や受け渡し方法などの調整をし、18日から1日1〜2カ所ずつ届けている。

 22日は博多区のイタリアンレストラン「DA FUCHIGAMI」が焼きすき丼25人分を用意。午前11時前、オーナーシェフの渕上兼督(けんとく)さん(43)から弁当を預かった吉田さんは昼の休憩時間に間に合うように届け先の病院に向かい、出入り口で職員に手渡した。

 外出自粛で客足が途絶え、渕上さんのレストランも臨時休業し、予約の弁当のみを扱っている。そんな厳しい環境下でも、医療スタッフの健康を考えた弁当には、牛肉と彩り良い野菜をふんだんに使い「最前線の人たちのためにできるのは本気で料理すること」と味でエールを送る。

 吉田さんの元には、弁当を受け取った医療スタッフから「力がわいた」というメッセージや弁当を手にした笑顔の写真が届く。協力してくれる飲食業者が増えれば支援先を広げる可能性もある。「私も開業医として地域の患者を守るが、急変時に救命救急は欠かせない。新型コロナの感染拡大で医療崩壊も懸念される中、それぞれの役割で地域医療を支えたい」

 活動への寄付は銀行振り込みで受け付けている。西日本シティ銀行シーサイドももち出張所、普通3024696、一般財団法人とびうめ健康財団。【青木絵美】

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