琵琶湖で水草が激減 昨年台風で南部の7割流失 水質悪化も

琵琶湖で水草が激減 昨年台風で南部の7割流失 水質悪化も

台風21号による琵琶湖の水草の流失状況

 近畿地方に甚大な被害をもたらした昨年の台風21号の暴風によって、琵琶湖で南北方向に行き来する強い水の流れが生じ、湖南部(南湖)に生えていた水草のほとんどが流失していた。国立環境研究所(茨城県つくば市)と滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)の調査・分析で判明した。

 琵琶湖博物館によると、今年に入っても水草は極めて少ない状態が続いている。水草が減ると水質悪化の恐れもあり、環境研などは動向を注視している。

 琵琶湖博物館は台風が来る前の8月9日と通過翌日の9月5日に、湖上から魚群探知機でクロモやコカナダモなどの水草分布を調査した。環境研が比較したところ、台風前は南湖のうち約36平方キロで水草が生息していたが、通過後は約16平方キロにまで減少した。

 台風前は高さ1メートル超の水草も多かったが、9月には全域で60センチ以下になった。高さが低くなった領域も含めると流失面積は計約35平方キロで、南湖の約7割に及んでいた。

 台風通過時、大津市では最大瞬間風速31メートルの南風を記録した。研究所が風向・風速や地形を基にシミュレーションしたところ、南湖では秒速1〜3メートルの北向きの強い流れができて、水位も1メートル以上低下した。通過直後には湖北部(北湖)から水が押し戻され、南向きの流れができていた。

 実際に南湖沿いにある大津市の観測所で一時的に1・22メートルの水位低下が観測された。

 環境研の中田聡史主任研究員は「水草の回復には時間がかかるのではないか。水草が減ると植物プランクトンが発生しやすくなり、(水面が緑色になる)アオコが生じる可能性もある。同様の問題は琵琶湖以外でも起こりうる」と指摘する。

 一方で琵琶湖博物館の芳賀裕樹総括学芸員によると、2014年には水草が増え過ぎて問題化したこともあり「これから何が起こるのか予測するのは難しい」としている。【池田知広】

関連記事(外部サイト)