「ツバメマンション」 夫婦で子育て「実況中継」し応援 兵庫・伊丹

「ツバメマンション」 夫婦で子育て「実況中継」し応援 兵庫・伊丹

親ツバメに餌をねだるヒナ=兵庫県伊丹市西台2で2019年6月10日午前11時15分、生野由佳撮影

 「ヒナが生まれたよ。まだ小さいから声は聞こえないな」。兵庫県伊丹市の阪急伊丹駅近くに毎年春から夏に多くのツバメが巣を作り「ツバメマンション」と親しまれるマンションがあり、住人の夫婦が巣の下に子育てを「実況中継」する看板を立てて応援を続ける。遠方からも見物人が訪れ、今やちょっとした観光スポットに。13日現在で二つの巣に計5羽のヒナが暮らし、夫婦は「成長をそおっと見守って」と願う。

 ツバメを見守るのは、今(こん)義嗣(よしつぐ)さん(66)と恵美子さん(57)夫婦。マンションは伊丹市西台2の県道沿いに位置し、近づくとツバメの鳴き声が盛んに聞こえる。巣は店舗が並ぶ1階のはりなど計10カ所にあり、うち2カ所が“稼働中”。ヒナが口をぱくぱくさせて餌をねだり、別の2カ所でも巣作りが進む。

 夫婦は毎年のように親ツバメが飛来する3月下旬からほぼ毎週、巣の変化やヒナの成長を「看板」で周囲に知らせてきた。始めたのは、義嗣さんが会社勤め(昨年退職)だった2008年夏、見守っていたヒナがカラスに食べられた出来事がきっかけだった。翌09年から巣の周囲にカラスよけの長いひもをつるし、近くを通る人にも見守ってもらおうと応援看板の設置を思いついた。

 「巣の上の方が壊れてきてる。落ちる前に(ヒナが)飛べるかな」。心のこもったユニークな看板に、伊丹駅へと急ぐ人たちもしばし足を止める。そのお陰もあってか、カラスの被害は格段に減り、飛来するツバメも年々増えているという。

 夫婦はこの時期、旅行なども控え、朝昼晩と巣を巡回。ツバメの見分けもつくようになった。今年は1羽の雄にやきもきした。卵を温める雌を放置し、別の雌と巣を作り始めたという。両方の巣でヒナが誕生したが、この雄は「先妻」の巣にほぼ戻らず、雌は1羽で子育てに奮闘した。そんな“ドラマ”にも、恵美子さんは「人間と同じでツバメの世界もいろいろあるよう。無事にヒナが巣立った時は本当にうれしかった」と目を細める。

 マンションでの子育ての様子は例年、7月ごろまで見られるという。【生野由佳】

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