再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度廃止へ 経産省検討

再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度廃止へ 経産省検討

経済産業省=東京都千代田区霞が関で、瀬尾忠義撮影

 経済産業省は、太陽光や風力など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を廃止する方向で検討を始めた。対象は大規模な発電施設を構える事業用で、廃止後は欧州で導入されている入札制度を軸に新たな仕組みを始める見通しだ。市場価格が急落した場合、国が再エネ事業者に一定の補?(ほてん)をする方式も検討する。

 現行制度は、再エネによって発電された電気を電力会社が割高な価格で買い取る仕組み。上乗せ分を電気の利用者が賦課金として負担しており、2019年度には合計で2兆4000億円に達した。巨額になった国民負担の軽減と再エネ拡大を両立できる新たな仕組みについて、4月から経産省で有識者による議論を進めていた。

 FIT廃止後の新制度は、先行する欧州で導入された制度を中心に検討している。ドイツやデンマークでは、市場価格と連動した「FIP」と呼ばれる制度に移行し、再エネ事業者は基本的に卸電力市場や相対取引で売電している。FIPは入札などで事前に基準価格を定め、市場の平均価格を下回った場合は差額を国が補?する。基準価格より高く売れれば国は補?する必要がなく、公費支出を減らせる利点がある。

 一方、現行の家庭用の太陽光発電は普及が十分ではなく、国民負担が少ないため、買い取り制度を残す方向で調整する。FIT法には政府が21年3月末までに施行状況などを勘案して「法律の抜本的な見直しを行う」と定めていた。再エネ発電の業界団体からは「再エネ普及に悪影響が及ぶ」として継続を求める声が出ている。

 経産省は20年度の法改正を視野に入れており、21年度にも新制度に移行する可能性がある。【中津川甫】

固定価格買い取り制度

 再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が決まった価格で一定期間買い取る制度。化石燃料への依存度を下げ、エネルギー自給率を高める目的で2012年に始まった。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスのいずれかを使い、国が定める要件を満たす業者を認定する。参入が容易な太陽光に事業者が集中し、認定容量全体の約8割を占める。事業用太陽光発電(10〜500キロワット)の買い取り価格は、12年度の40円から段階的に引き下げられ、19年度は14円。買い取りにかかる費用は「賦課金」として、家庭や企業など全ての契約者の電気料金に上乗せして回収される。19年度は一般的な家庭で月767円の負担になる見込み。

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