15分ではほぐせぬ プロ野球トレーナー、選手と「濃厚接触」 感染予防と両立苦慮

15分ではほぐせぬ プロ野球トレーナー、選手と「濃厚接触」 感染予防と両立苦慮

練習中、選手の体をケアするオリックスのトレーナー=大阪市西区の京セラドーム大阪で2020年6月21日午前9時31分、藤井達也撮影

 新型コロナウイルスの流行が落ち着き、プロ野球は6月19日、無観客で開幕した。選手との接触が避けられないトレーナーは、感染予防と施術の両立のため、試行錯誤している。多くの球団が、施術時間を普段の半分から4分の1にあたる「最大15分間」に制限してきたが、あるトレーナーは開幕を迎え「練習とは違い試合は体への負荷が大きいので、通常に近い施術時間に戻さざるを得ず、『濃厚接触』するしかない」と苦慮する。

 「球団の中にはマッサージ施設などの狭い空間で多くの選手が参集する状況があるようで、感染予防策と実施状況を点検していただきたい」。労働組合日本プロ野球選手会は5月11日の12球団代表者会議に合わせ、日本野球機構(NPB)に要望した。これまで感染予防策は各球団の判断に委ねられており、トレーナーは感染の不安を感じながら働いている。

 労組の要望に先立ち、4月下旬、米大リーグの球団に所属する医療系日本人スタッフらと、広島を除くNPB11球団のトレーナーがウェブ会議を開き、予防策や練習状況について意見交換した。国立感染症研究所が濃厚接触者を「患者と15分以上の接触があった者」などと定義していることに基づき、医師の意見も踏まえて施術時間を「1人最大15分」とした。

 多くの球団がこの方針に沿いながら、マスクの着用や手指の衛生管理、器具の消毒といった基本対策を講じている。ヤクルトのトレーナーは医療用手袋とゴーグルを着用し、ソフトバンクは施術前にシャワーを浴びることを推奨。西武は1室のトレーナーの人数を半分にして距離を確保し、ロッテは施術を受ける選手が氏名と入退室時間を記載する。

 ソフトバンクのある選手は「自主練習の時は施術がなく体がパンパンだった。欲を言えばもうちょっと施術時間は欲しいが、ないよりはありがたい」と現状を受け止める。ロッテの佐々木順一1軍チーフトレーナーは「今年結果が出なかったら生き残れるか瀬戸際の選手もいる。15分を超えて施術を求められ『触れないから』と我慢してもらうのは心苦しかった」と打ち明ける。パ・リーグ6球団のトレーナーは3密(密閉、密集、密接)を避けるため、互いの本拠地球場で、要望に応じて、施術スペースや簡易ベッドを確保するよう、申し合わせた。

 そもそも、NPBが開幕に備えて作成した新型コロナ対応ガイドラインには、トレーナーの施術時間の具体的な指標はない。オリックスは希望に応じて5分間の延長を認めた。森川秀樹球団本部長は「感染者は隔離され、戦力ダウンにつながるので感染防止が第一。公式戦では6連戦が続くが、『身が持たない』とケアが必要になった場合は30分程度に延ばすなど、対応を考える。状況に応じて次の手を打つ、の繰り返しになる」としている。【荻野公一】

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