カビで腐敗防止「土佐節の製造技術」 登録無形民俗文化財へ

カビで腐敗防止「土佐節の製造技術」 登録無形民俗文化財へ

完成した本枯れ節を手にする竹内専務=高知県土佐市宇佐町の「竹内商店」で2021年7月15日午前11時32分、北村栞撮影

 国の文化審議会は16日、「土佐節の製造技術」を国登録無形民俗文化財にするよう文部科学相に答申した。かつお節の製造方法が土佐で改良され、各地に影響を与えた点などが評価された。登録無形民俗文化財は今年6月に新設された制度で、「讃岐の?油(しょうゆ)醸造技術」とともに全国で初めて登録される見通しとなった。【北村栞】

 文化庁によると、土佐節は高知に伝わる硬いかつお節(本枯れ節)のこと。土佐で改良された製造方法の中でも「カビ付け」は水分を放出し良性のカビを付けて腐敗を防ぐ技術で、遠隔地への流通を可能にした。

 土佐市宇佐町の「竹内商店」では1947年の創業から現在まで、今回答申された製造方法で本枯れ節を製造している。3代目の竹内太一専務(36)は「文化はうちだけでは築き上げられない。宇佐町全体がかつお節を作る土地として全国に認知されるのは誇らしい」と喜びを語った。

 竹内専務によると、かつて宇佐にはかつお節の製造工場が多くあった。しかしカツオの漁獲量減少に伴い、多くの製造者が漁獲量の多い鹿児島へ移転したという。さらに本枯れ節は半年ほど完成までかかるため、経営のやりくりも難しい。周りは加工期間の短い生節の生産などにシフトしていった。

 多くの製造者が離れる中、竹内商店は宇佐で製造を続けてきた。竹内専務は想像だと前置きした上で「祖父は『ここで(文化を)残さないかん』という思いで残ったんじゃないか」と思いをはせる。そんなこだわりは3代目にも引き継がれている。「この産業全体が和食文化を残すことにもつながっていく。和食文化を支える『うまみ』を残していく会社になれたらいい」と希望を語る。

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