近大元教授を再逮捕 司法解剖の検査料5100万円だまし取った疑い

近大元教授を再逮捕 司法解剖の検査料5100万円だまし取った疑い

巽信二容疑者が主任教授を務めていた近畿大医学部=大阪狭山市で2021年5月19日、木島諒子撮影

 大阪府警から委託された司法解剖の検査数の水増しで約5100万円の検査料をだまし取ったとして、府警捜査2課は16日、近畿大医学部法医学教室の元主任教授、巽信二容疑者(66)=懲戒解雇=を詐欺の疑いで再逮捕した。巽容疑者はベテランの法医学者として知られていたが、6年間に申告した検査の9割超で不正が確認されており、府警は検査料の過大請求が常態化していたとみている。

 司法解剖は刑事訴訟法に基づき、犯罪死が疑われる遺体の死因を究明する目的で実施される。警察は大学などに解剖を委託し、医師は自身の判断で細菌やウイルス、薬毒物などに関して検査することができる。医師は検査数に応じて費用を警察に請求し、検査料が支払われる仕組み。検査料を含む解剖の委託費は国費から全額支出される。

 再逮捕容疑は2015年4月〜21年3月、架空の検査記録を申告したり、検査数を水増ししたりする手口で報告書を作成。大学を通じて府警に検査料を請求し、約5100万円を詐取したとされる。府警は認否を明らかにしていない。

 府警によると、保管されていた6年間分の解剖関連の資料を捜査した結果、検査実施の申告があった873件のうち795件で虚偽記載が発覚。大学側に支払われた計約2億5000万円のうち、計約5100万円が不正請求だったという。他にも水増しに関与した人物がいるとみて詳しい経緯を調べている。

 一方、府警は巽容疑者が同じ期間に作成した鑑定書の調査結果を公表。鑑定書には実施した検査記録のみが記載されており、「死因などの判断には影響がなかった」と結論付けた。解剖や検査の結果を踏まえて作成される鑑定書は捜査方針の根拠になったり、裁判では証拠にもなったりする。

 巽容疑者は6月以降、医療用品の購入を装って大学から経費計約3900万円をだまし取ったとして、別の詐欺容疑などで2回逮捕された。警察庁長官から贈られた民間人表彰最高位の「警察協力章」を取り消された。

 近大は16日、不正受給していた検査料を府警に返還するとホームページで表明。「大学としての監督責任を重く受け止める。深くおわびする」との談話も出した。

 府警刑事総務課の熱田好司課長は「鑑定書に問題はなかったが、虚偽検査を見抜けなかったのは事実。今後の捜査結果を踏まえ、再発防止策を検討する」と話した。【沼田亮、木島諒子、山田毅】

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