湯川秀樹博士の読書遍歴たどる常設展 没後40年で開設 京都

湯川秀樹博士の読書遍歴たどる常設展 没後40年で開設 京都

湯川博士の「読書」に着目した常設展=京都市左京区の京都大基礎物理学研究所で2021年7月15日午後4時4分、千葉紀和撮影

 日本で初めてノーベル賞の栄誉に輝いた湯川秀樹博士(1907〜81年)は、どんな本を読んで理論物理学者を志し、世界的な科学者に成長したのか――。そんな湯川の「読書」に着目したユニークな常設展が、湯川が所長を務めた京都大基礎物理学研究所(京都市左京区)の湯川記念館史料室に19日、開設される。

 史料室は79年に開設され、湯川の論文や蔵書、講演録など4万点を超す資料を所蔵している。遺族から3年前に大量の蔵書を寄贈されたのを機に、生前の湯川と親交があった小沼通二(こぬまみちじ)・慶応大名誉教授や、同研究所図書室の中川美葉(みは)主任ら4人が蔵書を生かした展示を計画。湯川は自らの読書遍歴を複数の著書に残しており、寄贈を受けた蔵書の中から実物を探し出した。没後40年の節目となるのに合わせて、湯川が使っていた旧所長室や通路を改装して展示した。

 湯川は幼少時代から「論語」など漢籍の教育を受け、旧制中学に入ると「老子」や「荘子」を読むように。自然のままであることを説く「無為自然」を重視する老荘思想の影響で、自然科学に関心を持った。洋書を扱っていた京都の書店・丸善で出会った、ドイツの学者フリッツ・ライヘの「量子論」に大きな衝撃を受け、物理学を志した。

 常設展はこれらに加え、少年時代に湯川が愛読した全120冊の古典文学集「有朋堂文庫」▽研究仲間で戦後は平和運動を共にしたアインシュタインの著作▽科学と人間性の問題を考える上で影響を受けた16世紀オランダの人文主義者エラスムスの作品――など蔵書の一部約2700冊を展示。特に影響の大きかった書物については、湯川の著書から引用した説明パネルを設けている。

 企画した中川さんは「何度も読んだ本はしおりが無数にはさまれ、読み直した時に先入観に捕らわれないよう、本ではなくしおりに書き込みがしてあるのも興味深い」と見どころを語る。小沼さんは「湯川が成長と共に読書で関心が広がっていく様を、本人の言葉と現物を通してたどることができる。若い人に見て何かを感じてもらいたい」と期待する。

 観覧無料。要予約。申し込み、問い合わせは同研究所(075・753・7000)。【千葉紀和】

関連記事(外部サイト)