11年ぶり 震災後初の海開き 古里の浜よみがえる 岩手・陸前高田

11年ぶり 震災後初の海開き 古里の浜よみがえる 岩手・陸前高田

11年ぶりの海開きを心待ちにしていた家族連れらでにぎわう高田松原海水浴場=岩手県陸前高田市で、2021年7月17日午後0時36分、中尾卓英撮影

 東日本大震災の津波から再生した岩手県陸前高田市の高田松原海水浴場で17日、海開きがあった。親子連れらが11年ぶりに青く透き通った海と白砂青松を楽しんだ。同市では最高気温が30度を超える真夏日となり、駐車場が満車になる盛況ぶりだった。海水浴場の利用は8月15日までの午前9時〜午後4時。

 砂浜は津波や地盤沈下で9割が消失したものの、県が砂を運び入れるなどして今春までに復旧。奇跡の一本松を除いて流された松林も地元住民らが少しずつ植樹を進め、かつての風景を取り戻しつつある。

 同市小友町の会社員、佐藤佑樹さん(37)は、妻美香さん(34)と小1から幼稚園年少の子ども3人と一緒に「初泳ぎ」を楽しんだ。佐藤さんは「小中高校時代は連日、海水浴場前の野球場で部活が終わった後、友だちと海に飛び込んで真っ暗になるまで楽しんだ」と懐かしみつつ、「津波で犠牲になった仲間たちを忘れず、子どもたちには海と共に生きる高田の良さを伝えていきたい」と、何度も波に飛び込んでいた。

 隣接する大船渡市では今夏、新型コロナウイルスなどの影響で三つの海水浴場の海開きを見送った。同市三陸町越喜来の会社員、菅野美沙希さん(27)は長女結菜さん(4)と訪れた。「子供の頃、自宅近くの浪板海水浴場で家族や近所の子たちとバーベキューをした思い出がある。娘にも夏の三陸の海の楽しさを伝えたい」と話し、母子で水遊びを楽しんだ。

 監視員にとっても11年ぶりの業務となった。主任の阿部由男さん(67)は、20代からサーフィンで親しんでいた古里の浜がよみがえった光景に目を細め、「子供たちの笑顔がいいね。高田観光の顔ともいえる松原で、とにかく無事故で楽しんでほしい」と気を引き締めた。

 福島県双葉町の海水浴場でも原発事故前にライフセーバーの経験がある伊藤真吾さん(40)は「(高田松原は)大量の砂を入れたことで、震災前の遠浅の海ではなくなり、水際数メートル先で急に深くなることが気がかり」と話し、安全確保に目配りをしていた。

 県内では今夏、昨年より多い13カ所の海水浴場が開設される予定。釜石市の根浜や山田町のオランダ島、宮古市の浄土ケ浜などで、いずれの自治体も飲酒やバーベキューの禁止など新型コロナ感染対策を呼びかけている。【中尾卓英】

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