熱海観光、夏休み前ダブルパンチ 土石流、コロナ「客いつ戻るか」

熱海観光、夏休み前ダブルパンチ 土石流、コロナ「客いつ戻るか」

JR熱海駅近くのアーケード商店街。土石流の発生前と比べて、客足は遠のいているという=静岡県熱海市で2021年7月12日午後4時46分、金子昇太撮影

 静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で発生した土石流災害の影響で、直接的な被害のなかったJR熱海駅周辺や温泉街も観光客が減っている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で売り上げが伸び悩んでいる観光施設や飲食店はかき入れ時の夏休みが近づくにつれて客足が徐々に戻りつつあったが、状況が再び悪化。熱海商工会議所は「市全体が被災したイメージが広がっている」とため息をつく。【金子昇太、梁川淑広、上鵜瀬浄】

 「災害のあった次の平日から明らかに客が減った」。熱海駅近くのアーケード商店街で干物販売店と和食店を経営する小林雄人さん(52)は肩を落とす。両店舗の売り上げはコロナ禍前に比べると半分近くまで減少。和食店は7月に入ると、予約が少しずつ入るようになり、「状況が少しずつ上向きになっていた」が、3日に土石流が発生すると、キャンセルの電話が相次いだ。「町全体が沈んでしまった雰囲気がある」とこぼした。

 熱海市役所の近くの飲食店で6日から休業する店もあった。男性従業員(40)は「(新型コロナの影響で)売り上げが見込めなかったところに、今回の災害で更に客が少なくなってしまった」と漏らした。

 影響は商店街だけでなく、旅館やホテルにも及ぶ。熱海駅近くで70年以上も営業を続ける老舗の「熱海温泉さくらや旅館」は夏休みシーズンの7月下旬の予約が好調だったが、キャンセルが出始めた。コロナ禍前と比較すると半分以下の収益で、2021年に入っても状況が改善していなかった中での土石流。それでも、女将の犬飼佳子さん(68)は「心が痛む災害。頑張れる人が頑張り、市を支えていきたい」と前を向いた。

 熱海商工会議所の担当者は「客足がいつ戻るのかは不透明だ」と話す。商議所によると、新型コロナの影響で、電車や新幹線の利用を控え、車で市を訪れる観光客が増えていたという。土石流で国道135号が寸断されるなどの被害が観光客の減少につながっていると推測する。「ぜひ足を運んでほしい」と呼び掛ける。

 熱海市は7月17日〜8月29日に予定した熱海サンビーチなどの市内の3海水浴場の開設について土石流の大規模な捜索が続いているとして、中止を決めた。熱海市の斉藤栄市長は13日の記者会見で、「観光地として、なかなか多くの方々に『来てください』と言えない。今は、捜索活動に全力を挙げている。宿泊業を中心にたいへん厳しい状況になっていることは間違いない。海水浴場の開設を見送るということは非常に大きな判断だ」と苦渋の表情を浮かべた。

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