京アニ放火2年 更地になったスタジオ跡地で遺族ら追悼式

京アニ放火2年 更地になったスタジオ跡地で遺族ら追悼式

「京都アニメーション」第1スタジオ跡地で営まれた追悼式=京都市伏見区で2021年7月18日午前、同社提供

 36人が死亡した「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件は18日、発生から2年を迎えた。更地になったスタジオ跡地で追悼式が営まれ、遺族や京アニ関係者ら約80人が参列。理不尽に命を奪われたアニメーターらの死を悼んだ。

 京アニによると、式は跡地に設営されたテントで、事件発生時刻の午前10時半ごろに始まった。「少しでも前を向こう」との思いから祭壇にはヒマワリなどの花が飾られ、遺族68人や社員らが黙とうをささげた。

 遺族代表の弔辞の後、八田英明社長が追悼メッセージを読み、「筆舌に尽くしがたい悲しい事件で、犯人が憎い。皆さんを守れなかったことを本当に申し訳なく思います」と謝罪。事件後もアニメ制作を続けてきた経緯に触れ、「少しずつですが歩み始めています。あなたたちを忘れることはありません。温かく見守ってください」と結んだ。

 事件は2019年7月18日に起きた。社員ら70人がいたスタジオに青葉真司被告(43)が侵入し、ガソリンをまいて放火。36人を殺害、34人に重軽傷を負わせるなどしたとされる。

 被告は事件直後に身柄を確保されたが、重度のやけどを負い、約10カ月間入院。会話できるまでに回復したとして、20年5月に殺人などの疑いで逮捕され、同12月に起訴された。「京アニに小説を盗まれた」と供述しているが、京アニは盗作を否定しており、動機には不可解な点が多い。現在、大阪拘置所に勾留されているが、初公判の見通しは立っていない。

 1981年創業の京アニは「涼宮ハルヒの憂鬱」「けいおん!」などのヒット作で知られ、海外にもファンが多い。事件後、国内外から約33億円の寄付金が集まり、遺族と負傷者らに配られた。【中島怜子、藤河匠】

■京都アニメーションの八田英明社長が読み上げた追悼メッセージ(同社提供)

 「お早うございます」

この明るい毎朝のあいさつから一日が始まりました。それが変わらない日常でした。

 二年前の今日の朝までは……。

 今はもう聞くことができません。本当に悲しいです。

 私たちは毎日、口には出しませんがそんな思いを抱いて日々過ごしています。

 筆舌に尽くしがたい本当に悲しい事件です。犯人が憎いです。

 心から一人一人の皆さんに哀悼の誠をささげます。

 そして皆さん一人一人に、守れなかったことを本当に申し訳なく思っています。心から謝罪致します。

 本年は会社を設立してちょうど40年になります。

 この40年の間に一人一人との出会いがありました。

 会社の基礎を築き、引っ張っていった仲間たち、必死に背中を追いかけた後輩たち、お昼に一堂に会して楽しく食事をしたこと、会議で自分の気付き・目標を熱く語ってくれた意欲的な一人一人、いとおしく思います。

 クリエーターとして、アニメーターとして優秀な仲間が、北は北海道から、南は鹿児島まで、この地に集まりました。皆、輝いていました。

 事件前から、ここに、この地で、皆で、言うなら「よってたかって」作ってきた作品たちがあります。

 2019年9月16日公開の「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝―永遠と自動手記人形―」、2020年9月18日公開の「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」、そしてこの7月に放送開始となった「小林さんちのメイドラゴンS」。

 みなさんとともに作った作品たちはファンの皆様のもとへ届けられ、大変あたたかい反響をいただきました。

 そして、皆さんとともに作ってきた数々の作品は、今も多くの方にご覧いただき、それが会社を支えてくれています。

 まだまだ新作を作る制作力、技術には時間を要します。当面は皆で基礎を作った作品を続けていく予定です。

 私たちは、皆さんの思いを大事にして、少しずつですが歩み始めています。

 皆さんは共にあります。

 会社は、これからいろいろ困難な局面があるとは思いますが、皆さんに語りかけて、そして今いる社員、これから歩む新たな社員とともに、胸を張れる組織にしていきたいと念願しています。

 あなたたちを忘れることはありません。

 いつも心の支えです。

 どうぞ温かく見守ってください。

2年目の追悼の日に

株式会社京都アニメーション

代表取締役八田英明

■映画「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」などで監督を務めた京都アニメーション取締役、石立太一さん(41)のあいさつ(同社提供)

 皆さま、本日はお暑い中、本当にありがとうございました。私は、京都アニメーションの石立太一と申します。普段、作画室でお仕事をさせていただいており、皆さま大切にされていたご家族と本当に長い時間、一緒に仕事をさせていただきました。

 丸2年という月日を経ましたが、皆さまの心の傷が真に癒えることは無いのではないかと思っています。自分自身も、ふと思い出して胸を締め付けられる思いをしています。本当なら、皆でここで作品を作り続けていたかと思うと、胸が締め付けられてたまりません。皆の声が心に残っています。皆からどれだけの恩を受け取っていたかを、失って感じる日々が続いています。これは決して消えることのない思いであると同時に、この思いを違う形で後世に残していきたいと強く思っています。皆さまに愛され、その思いを抱いて頑張っていた皆の思いを後世に残していきたいと思っています。

 本日ここにお集まりいただいた皆さま、ここにおられない皆さまにも、京都アニメーションという会社として、これからも皆さんと共に歩んでいきたいと思っています。本日は貴重なお時間をいただき、思いをお寄せいただき、ありがとうございます。簡単ではありますが、これにてあいさつとさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

京都アニメーション

取締役 石立太一

関連記事(外部サイト)