金沢市で「パートナーシップ」導入 北陸でのLGBT理解へ第一歩

金沢市で「パートナーシップ」導入 北陸でのLGBT理解へ第一歩

金沢市で7月1日から始まったパートナーシップ宣誓制度で、2人が受け取る宣誓書受領書と受領カード。縁に鮮やかな虹色が施されている=2021年7月16日午後1時14分、阿部弘賢撮影

 北陸で初となる「パートナーシップ宣誓制度」が1日、金沢市で始まった。制度は性的少数者(LGBTなど)や事実婚のカップルを公的に認めるもので、市営住宅への入居など行政サービスが利用できるようになる。LGBTへの抵抗感が強いとされる北陸での導入は、当事者や支援者らにとって大きな一歩で、関係者は「他の自治体にも広がってほしい」と期待する。【阿部弘賢】

 パートナーシップ制度は、2015年に東京都渋谷区が初めて導入。制度を推進する市民団体「自治体にパートナーシップ制度を求める会」によると、7月16日時点で全国111自治体が採り入れた。

 金沢市は2020年にSDGs(持続可能な開発目標)を推進する内閣府の「SDGs未来都市」に選ばれ、ジェンダー平等を進める一環として制度を導入。成年であることやカップルのどちらかが市内に在住していることなどが条件で、戸籍上の性別は問われない。宣誓書を提出すると「受領証」が交付され、市営住宅への入居が可能になるほか、市立病院で手術する際にパートナーも同意できるなどのメリットがある。市の担当者は「同性だけでなく事情のある異性のパートナーも対象にするなど、利用しやすい制度になるよう先行事例も参考にいいものを採り入れた」と説明する。

 初日には同市の岡田千央美さん(36)と小室礼子さん(36)が市役所を訪れ、宣誓書を提出した。第1号となった岡田さんは「パートナーとして公的に認められるのは心強い」と喜ぶとともに、「好きな人と一緒にいることが誰にとっても自然で幸せなこと。声を上げることで、宣誓が当たり前の社会になってほしい」と理解の広がりに期待した。

 パートナーシップ制度は、白山市が年内の導入を目指し準備を進めているほか、野々市市も検討を始めている。しかし、富山、福井両県を含め、北陸の多くの自治体では目立った動きが見られないのが現状だ。

 北陸で導入が進まない背景には、LGBTへの根強い抵抗感もあるとされる。河口和也・広島修道大教授らの研究班による全国意識調査(2015年)によると、近所の人が同性愛者だったらどう思うか尋ねたところ、「嫌だ」「どちらかといえば嫌だ」と答えた人の割合は、北陸が最も高い61・5%で、最も低かった北海道(30・5%)の2倍以上だった。河口教授は「北陸は持ち家率が高いなど家族主義的な雰囲気が強い地域。そうした家族の中にLGBTの人がいるのを好まない傾向が影響しているのではないか」と推測する。

 制度導入の意義について、一般社団法人・金沢レインボープライドの松中権・共同代表は、LGBTの当事者の存在を公的機関が認めて可視化することで、LGBTが決して遠い存在ではないことを市民に対して発信している点にあると指摘する。富山県内のLGBT当事者らでつくる市民団体「レインボーハート富山」の佐脇宏史代表は「北陸で一歩進んだことは希望が持てる。富山でも前に進めるきっかけにしたい」と期待を込めた。

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