「理解に苦しむ」 小山田圭吾さん「いじめ」発言で障害者団体声明

「理解に苦しむ」 小山田圭吾さん「いじめ」発言で障害者団体声明

小山田虐めに障害者団体声明

「理解に苦しむ」 小山田圭吾さん「いじめ」発言で障害者団体声明

クイック・ジャパン(1995年3号)に掲載された小山田圭吾さんのインタビュー記事=東京都千代田区で2021年7月15日、北山夏帆撮影

 東京オリンピックの開会式の楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾さんが、過去に雑誌のインタビューで長年にわたって同級生をいじめていたと語っていたことを巡り、知的障害者の権利擁護団体「全国手をつなぐ育成会連合会」は18日、ホームページで声明を発表した。

 声明では「障害の有無に関わらず、いじめや虐待は許されるものではない」「なぜ自身が『いかなる差別も禁じる』としている五輪憲章を掲げるオリンピック、そして障害者アスリートの祭典であるパラリンピックの楽曲提供を担当するに相応(ふさわ)しいと考えたのか、理解に苦しむ」などと抗議を表明。小山田氏を起用し、問題発覚後も留任を決めた大会組織委員会に対しても「重い説明責任がある」と指摘した。

 さらに開催直前であること、小山田氏が謝罪していることなどから「楽曲制作への参加取りやめまでを求めるものではない」とした上で、「大会を楽しめない気持ちになった障害のある人や家族、関係者が多数いることについては、強く指摘しておきたい」と訴えた。

 小山田氏を巡っては1994年1月発行の雑誌「ロッキング・オン・ジャパン」などで掲載されたインタビューでいじめを行っていたと明かしていたことがSNS上で批判を浴び、「炎上」状態となった。小山田氏は16日に自身のツイッターで「深い後悔と責任を感じている」と謝罪文を掲載。大会組織委の武藤敏郎事務総長は17日、小山田氏を続投させる意向を示し、雑誌での発言については「知らなかった」とした。【デジタル報道センター】

       ◇

声明全文は以下の通り。

小山田圭吾氏に関する一連の報道に対する声明

 東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作へ参加しているミュージシャンの小山田圭吾氏に関する一連の報道について、一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(以下「本会」という。)として次のとおり声明を発表いたします。

 新聞等の報道によると、小山田氏は私立の小中高一貫校に在学していた際、障害のあるクラスメイトに対し、筆舌に尽くしがたい苛烈ないじめ行為をしており、そのことを平成6年(1994年)および平成7年(1995年)の2回にわたり、異なる音楽雑誌のインタビューで赤裸々に語っていました。

 小山田氏自身も、公式サイトにおいていじめ行為があった事実を認めており、謝罪もしています。(ただし、あわせて音楽雑誌側に事実を誇張していた旨の主張もしています)今回の事案について、本会としては大きく以下の3点が重大な問題点であると認識しています。

(1)障害の有無に関わらず、いじめや虐待は許されるものではない

小山田氏のインタビュー記事は採録がためらわれるほどの凄惨(せいさん)な内容であり、いじめというよりは虐待、あるいは暴行と呼ぶべき所業です。このような行為は、たとえ学生という未成熟な年代であったとしても、許されるものではありません。しかも、そのターゲットが反撃される可能性が少ない障害のあるクラスメイトだったことも考え合わせると、小山田氏の行為には強く抗議するものです。

(2)小山田氏の行為は極めて露悪的である

 上記のとおり小山田氏の行為は決して許されませんが、学生という年代であったことを考慮すると、行き過ぎた言動に走ってしまうことはあるかもしれません。

 しかし、そのことを成人して著名なミュージシャンとなった後に、わざわざ高名な音楽雑誌のインタビューで面白おかしく公表する必要性はなかったはずです。極めて露悪的と言わざるを得ません。しかも、インタビューでの発言では明らかに障害者を差別的に揶揄(やゆ)している部分も各所に見受けられ、少なくともインタビュー時点ではまったく反省していないばかりか、一種の武勇伝のように語っている様子がうかがえます。

(3)なぜ小山田氏が楽曲提供担当となり、留任させることにしたのか

 小山田氏の公式サイトによると、「過去の言動に対して、自分自身でも長らく罪悪感を抱えていたにもかかわらず、これまで自らの言葉で経緯の説明や謝罪をしてこなかった」と明記されており、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への参加要請があった際にも、組織委員会に対していじめ加害者であったことは説明していなかったことが色濃く推測されます。

 あれだけ露悪的なインタビューが公表されているにもかかわらず、なぜ小山田氏が自身を「いかなる差別も禁じる」としている五輪憲章を掲げるオリンピック、そして障害者アスリートの祭典であるパラリンピックの楽曲提供を担当するに相応しいと考えたのか、理解に苦しみます。同様に、そのような小山田氏を起用し、今般の事案を踏まえても留任させる決断をしたにもかかわらずまったく公式な説明を行っていない東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会には、重い説明責任があります。

 本会としては、すでにオリンピックの開催が直前に迫っており、小山田氏も公式に事実を認め謝罪していることも勘案して、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への参加取りやめまでを求めるものではありません。

 しかし、今般の事案により、オリンピック・パラリンピックを楽しめない気持ちになった障害のある人や家族、関係者が多数いることについては、強く指摘しておきたいと思います。

 小山田氏が露悪的であったことも含め心からの謝罪をしたのか、それとも楽曲提供に参画したい一心でその場しのぎで謝罪をしたのか、本会としては小山田氏の言動や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の動向について、今後も注視してまいります。

令和3年(2021年)7月18日

一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会

会長 久保厚子

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