茅葺き修業し「おむすび屋」開店目指す 和歌山大生「交流の場に」

茅葺き修業し「おむすび屋」開店目指す 和歌山大生「交流の場に」

屋根を茅葺きに改修し、おむすび屋を開設する計画の物置小屋(左)。右奥の建物が志高庵=和歌山県かつらぎ町志賀で2021年7月3日午前11時14分、藤原弘撮影

 和歌山県かつらぎ町志賀地区で、和歌山大の学生たちが、活動拠点としているゲストハウスそばの物置小屋の屋根を茅葺(かやぶ)きに改装し、おむすび屋を開く計画に取り組んでいる。地域住民と協力して地域の持続可能性を切り開くべく、地区への若者定住に向け、収入を得る道を探る狙いだ。

 学生らの地区での活動は2017年、地域協働自主演習いう科目のプロジェクトの一つとして始まった。18年には古民家のリノベーションに取り組み、ゲストハウス「志高庵」を開業している。

 地区にはトタンで保護された茅葺きの民家が20軒以上残る。学生らは茅葺きの技術が2020年、ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統建築工匠の技」に含まれたことに着目し、将来的に地区の民家の葺き替えをすることも目指し、神戸市の茅葺き職人、相良育弥さん(41)から技術を学んでいる。

 卒業生らの協力も得て、学生たちは18人でプロジェクトチームをつくり、相良さんの指導を受けながら19年、紀美野町と有田川町にまたがる生石高原で高さ1・5メートル以上に育ったススキを刈り取った。刈り取っても再び伸びてくる持続可能な素材として注目されているススキ。20年7月には拠点近くの地面を掘り下げ、束にしたススキを用い、竹の柱に土壁という「竪穴式茶室」を造った。

 しかし、茶室は完成後まもなく、土壁の一部が崩れ、学生たちは21年7月2〜4日、相良さんから教わりながら修復作業をした。ススキの束を全て外して再び縄で結びつけ、束の断面を道具でたたいて整えた。このように試行錯誤が続くが、相良さんは「学生たちは熱心。釘やネジを使わないだけに、束などを縄でしっかりと結ぶことが大切だ」などと指導していた。

 おむすび屋は江戸時代、土地を所有していた人物の名にあやかり「むすび屋弥右ヱ門」と命名し、地元の米や県産品を具材に使う予定だ。店舗を担当することになる卒業生の松原主明さん(22)は「おむすびは、地域の米や山菜をうまく生かすことができるし、『人と人を結びつける』こともイメージした。地域と外の人たちをつなげる場所にできたら」と意気込んでいる。

 住民たちも、茶室を作る際に地面を掘り下げたり、柱となる真竹を切り出したりするなど、学生たちの活動に協力してきた。地元の農家、舟戸陽さん(72)は「学生たちは草刈りや掃除などのボランティアを率先してやってくれるので助かっている。情熱を持ってくれているのが感じられ、ありがたい。僕もしっかりしないとと励みになっている」と喜んでいる。

 2022年4月の開業を目指し、クラウドファンディング(CF)のサイト「キャンプファイヤー」で支援を募っている。プロジェクトチームメンバーのシステム工学部4年、飛詰峻さん(21)は「店の開設前からCFを通してファンを作っていきたい。茅葺きのことを知らずにプロジェクトに参加したが、学んだことが多かった。将来、草原のススキがどれだけ炭素を固定するかなどを研究したい」と話していた。

 問い合わせは、志高庵を経営し、活動に連携している豊原弘恵さん(090・5971・8050)。【藤原弘】

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