復興事業の土地収用で原石が…すずり職人が県提訴「文化消滅する」

復興事業の土地収用で原石が…すずり職人が県提訴「文化消滅する」

仙台地裁=滝沢一誠撮影

 東日本大震災の復興事業に伴う土地収用で、国の伝統工芸品に指定されている「雄勝硯(すずり)」の原石が採れなくなるとして、土地の所有者の簗瀬髟vさん(71)が、宮城県に約1億円の損失補償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。

 訴状などによると、簗瀬さんは石巻市雄勝地区の「御留山」(約1万4300平方メートル)を所有。国道398号を改築し集団移転団地を結ぶ工事のため、県が売却を打診した。簗瀬さんはこれに応じず、土地収用委員会が今年1月に土地の明け渡しを命じる裁決を出した。約1075万円という補償額には、山に埋まっている雄勝石の価値が考慮されておらず、裁決は違法だと主張している。

 雄勝硯生産販売協同組合の理事長でもある簗瀬さんは、「御留山から原石が採石できなければ雄勝硯の文化が消滅してしまう」と話す。ほかに、裁決の取り消しを求める訴訟なども起こしている。

 同委員会の事務局は「訴状の中身を確認していないのでコメントできない」としている。【面川美栄】

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