京都ウトロ地区に「平和祈念館」建設へ 歴史継承と日韓交流の場に

京都ウトロ地区に「平和祈念館」建設へ 歴史継承と日韓交流の場に

「ウトロ平和祈念館」の完成イメージ図(ウトロ民間基金財団提供)

 京都府宇治市伊勢田町の在日コリアン集住地域・ウトロ地区で、住民と支援者たちが第二次世界大戦以来の地域の歴史を伝える「ウトロ平和祈念館」を建設する。戦時中の京都飛行場建設に携わった朝鮮人労働者とその子孫が暮らし、形成されたまちの歴史について常設展示するほか、戦時中に建てられ「飯場(はんば)」と呼ばれた労働者の宿舎を敷地内に移築・再現。歴史の継承と交流のための施設として、2022年4月の開館を予定している。【鈴木健太郎】

 ウトロは、国策企業が集めた朝鮮人労働者の宿舎群がルーツ。戦後も現地に残った労働者、家族、縁者が、生活インフラの乏しい劣悪な環境で暮らした。土地を買収した不動産会社との間に居住を巡る争いが起き、00年に住民の立ち退きを命じる最高裁判決が出たが、韓国の政府や財団、日本国内外の有志が住民を支援。韓国政府系財団が土地の一部を購入し、日本政府や府、宇治市の構想で市営住宅建設が始まり、18年に1期棟が完成した。

 祈念館は住民らによる「ウトロ民間基金財団」が建設、運営する。1期棟の完成後、住民の歴史を振り返り次世代に伝え、新旧の世代や地域内外の住民、日本人とコリアンが交流する場として企画された。ワークショップなどでウトロの住民の意見を集め、建設計画を立てた。

 計画では、約2億円の建設費をかけて地区東側の約836平方メートルの敷地に、鉄骨3階建て延べ462メートルの祈念館を建設。隣には戦時中の「飯場」の建物跡1棟を移築・再現する。

 ウトロの支援に長年関わった1級建築士、ムン青(チョン)ヒョンさん(50)=大阪市=が設計した祈念館の1階はカフェを兼ねた交流スペース、2階は展示フロアとする。前庭は歌や踊り、屋外焼き肉など、さまざまなイベントが可能な空間にする。展示品は説明パネルのほか、戦後に住民が実際に使った生活用品、戦前から現代まで撮影された写真などを準備している。

 財団の建設推進委員会共同代表の郭辰雄(カクチヌシ)財団理事(54)は「歴史を記憶し、これまで苦労してきた住民が、充実した生活のために生かす場になるようにしたい」と抱負を語った。ウトロ町内会の田中秀夫会長(73)は「過去の歴史を忘れず、未来の人につなぐため、コリアンと日本の人が一緒に集える場所になってほしい」と期待を寄せた。

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