人と動物、土で生き生きと表現 奈良美智さんら5人作品展 滋賀

人と動物、土で生き生きと表現 奈良美智さんら5人作品展 滋賀

ステファニー・クエール作「Narrow Abyss」。向き合う猿の親子が、哲学者のようにも見える=滋賀県甲賀市信楽町勅旨の陶芸の森陶芸館で2021年6月29日午前10時30分、礒野健一撮影

 人と動物をテーマにした造形作品を集めた特別展「ヒューマン&アニマル 土に吹き込まれた命」が、滋賀県甲賀市信楽町勅旨の陶芸の森陶芸館で開かれている。世界で活躍する5人の作家が、土と対話しながら作り上げた約200点が並ぶ。

 動物をモチーフに、人間の心理や社会の矛盾を表現する作品を手がけるベス・カヴェナー(米国)の作品「オバリヨン」は、角の重みに耐えられず立ち上がれない鹿の姿を捉えている。角は名誉や名声を意味し、それにとらわれるあまり、身動きできなくなった人間を表現している。

 ステファニー・クエール(英国)は、動物たちの自然な動きや表情を、土を素材に生き生きと表現した作品が特徴だ。親子の猿をモチーフとした「Narrow Abyss」は、可愛らしさの中に、禅問答をしているような奥深さも感じられる。

 しかめ面の子どもなど、独特な表情の作品が人気の奈良美智は、昔の小学校の理科室をイメージした展示空間を自らレイアウト。そこに制作過程のものも含めて作品を並べた。陶芸やドローイング作品が古びた棚やテーブルに並ぶ様子は、奈良の創作現場に立ち入ったようで、観察するほどに新たな発見がありそうだ。

 素朴で愛らしい陶器の動物を作るスーザン・ホールズ(英国)や、陶器に緑色のナイロンファイバーを当て、苔(こけ)のような質感を出した「モス・ピープル」シリーズが特徴のキム・シモンソン(フィンランド)の作品も目を引く。

 友人と訪れた愛知県幸田町の中村祥子さん(49)は、「土で表現できることが、こんなに幅広いのかと感心した。奈良さんの展示空間は、細かなところにもこだわりがあり、見ていてワクワクする」と話した。

 子ども目線で作品を紹介するパート1は9月5日まで。作家の制作風景などを展示するパート2は9月18日〜12月19日。入館は午前9時半〜午後4時半。月曜休館(祝日は開館し翌火曜休館)。一般750円、大学・高校生560円、中学生以下無料。問い合わせは同館(0748・83・0909)。【礒野健一】

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