双子遺体を「安置」と主張した実習生 専門家「議論の余地がある」

双子遺体を「安置」と主張した実習生 専門家「議論の余地がある」

判決後に記者会見する被告の主任弁護人、石黒大貴弁護士(左)ら=熊本市中央区で2021年7月20日午後2時42分、栗栖由喜撮影

 自国の慣習に沿って埋葬のために双子の遺体を「安置」していたと主張したベトナム人技能実習生に死体遺棄罪が成立するとした20日の熊本地裁判決。同罪に詳しい愛知学院大の原田保客員教授(刑事法)は「日本で認められている弔い方をしなければ死体遺棄罪に当たるという伝統的な考え方に従った判決だ」とみる。

 その一方で、遺体がある自室に居続けた被告の行動を踏まえ「最近は遺体から離れていなければ同罪は成立しないという考え方もあり、その点は議論の余地がある」とも話した。

 なぜ悲劇は相次ぐのか。毎日新聞が過去の報道などを調べたところ、2009年以降、実習生が赤ん坊の遺体を遺棄するなどして逮捕された事件は少なくとも8件あった。

 日本人労働者と同様に、実習生にも産前産後の休業を規定した労働基準法や、妊娠・出産を理由にした解雇を禁じた男女雇用機会均等法などが適用される。だが、被告は公判で「妊娠による解雇や帰国強制が法律で禁じられているとは知らなかった。SNS(ネット交流サービス)で強制的に帰国させられた多くのケースを知り、自分もそうなることを恐れた」と語った。

 今回の判決は有罪とした一方、被告が妊娠によって帰国に追い込まれる厳しい状況にあったことを認め、その事情を酌んでいる。

 「外国人技能実習生問題弁護士連絡会」共同代表の指宿昭一弁護士(第二東京弁護士会)は「妊娠、出産は当然認められる権利であるにもかかわらず(実習生を派遣する各国の)送り出し機関から妊娠、出産を禁止されるなど実習生の人権が抑圧されている。そんな状況を生んでいる現行の技能実習制度を廃止し、外国人労働者の人権が実質的に守られる体制に見直すべきだ」と話した。【栗栖由喜、中村園子】

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