早期避難指示で死者“ゼロ” 山形・最上川氾濫、4時間前の判断

早期避難指示で死者“ゼロ” 山形・最上川氾濫、4時間前の判断

氾濫 早期指示が生死分ける

早期避難指示で死者“ゼロ” 山形・最上川氾濫、4時間前の判断

最上川が氾濫し浸水した住宅街。早期の避難勧告・指示が命を救った=山形県大石田町で2020年7月29日午前11時5分、藤村元大撮影

 記録的な大雨で山形県の最上川が氾濫し、多くの家屋で浸水被害が出たが、これまで死者は確認されておらず、人的被害は最小限に抑えられた。背景には、気象庁の流域水位に関する予想データに基づき、関係者の独自判断によって、最初の氾濫が確認された約4時間前に避難指示が発令されたことがあった。被害拡大前の早期の判断が、生死を分けることを裏付けた形だ。【的野暁】

 「4時間後には最上川が危険水位に達します。明るいうちの避難をお願いします」。28日午後5時ごろ、国土交通省新庄河川事務所の吉柳(きりゅう)岳志(たけし)所長は携帯電話で、大石田町の村岡藤弥町長に警告した。

 政府関係者などによると、気象庁は短時間に降る雨量指数の予測などを基に、同事務所と対応を相談。同事務所は、大石田町を含む最上川中流の6市町村の首長に対し、夜間の氾濫の恐れを直接電話(ホットライン)で警告した。「水位上昇後では夜間になり、避難できなくなる」。関係者の一人は危機感を募らせていた。

 午後4時半ごろ、同事務所から届いた最上川の水位予測に大石田町の高橋慎一総務課長は目を疑った。「29日午前2時・18メートル」。同町は、最初の氾濫が起きる5時間以上前の28日午後6時過ぎに「避難勧告」を発令。その1時間半後に「避難指示」に切り替えた。

 3カ所(横山、大石田、豊田)で氾濫が起きた大石田町で1028世帯3074人に避難指示が出された。浸水被害を受けた家屋は30日午後2時現在で116棟だが、けが人は1人もいなかった。

 早期避難指示で、自主避難者も含め、29日午前3時までに町民の4人に1人に当たる737人が、町内計11カ所の避難所に身を寄せた。地元消防団によると、28日午後10時ごろには、大半の家が消灯していたといい、相当数の町民が避難を完了していたとみられる。

 高橋課長は「最上川は7月豪雨で氾濫した熊本県の球磨川と同じ急流。あの恐ろしさが目に焼き付いており、早めに対応しなくてはと感じた」と振り返った。

住宅被害660棟 土砂災害など警戒

 県は30日、大雨に関する対策本部員会議を開き、住宅被害は25市町村で計約660棟に上っていることを報告した。山形地方気象台によると、31日昼過ぎから夕方にかけて、再び激しい雨が降る見込みで、地盤が緩んでいる場所で、土砂災害などに警戒するよう呼びかけている。

 県によると、避難者は30日午後1時現在、大江と河北の両町で計24人だが、大蔵村(塩地区36戸109人)で断水したり、新庄市畑地区の取水施設が停止したりしている。県は同日、給水活動支援のため、自衛隊に災害派遣要請を行った。

 山形地方気象台によると、31日の昼過ぎから夕方にかけて、雷を伴う1時間に30ミリの降雨を予想し、「土砂災害や河川の増水に注意してほしい」としている。

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