ケリー被告が無罪主張 日産は起訴内容認める ゴーン氏報酬虚偽記載 東京地裁初公判

ケリー被告が無罪主張 日産は起訴内容認める ゴーン氏報酬虚偽記載 東京地裁初公判

初公判のため東京地裁に入る日産自動車元代表取締役のグレッグ・ケリー被告=東京都千代田区で2020年9月15日午前10時3分(代表撮影)

 日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(66)の役員報酬約91億円を有価証券報告書に記載しなかったとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われた日産元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(64)は15日、東京地裁(下津健司裁判長)で開かれた初公判で「私は起訴内容を否認します。犯罪の共謀に関与していない」と述べ、無罪を主張した。法人として起訴された日産は起訴内容を認めた。【巽賢司、遠山和宏】

 公判の冒頭、起訴内容の認否を問われたケリー元代表取締役は「ゴーン氏は傑出した経営者だった。ゴーン氏を日産につなぎ留めるため、合法的な方法を探った」と主張した。

 起訴状によると、ケリー元代表取締役はゴーン前会長と共謀し、2010〜17年度分のゴーン前会長の役員報酬が実際は計約170億円だったのに、有価証券報告書には計約78億円と虚偽の記載をし、計約91億円を記載しなかったとされる。有価証券報告書への役員報酬の虚偽記載で起訴された初のケースとなる。

 検察側は、1億円以上の報酬を得た役員の氏名や金額を明らかにする「個別開示制度」が09年度に導入されたことをきっかけに、高額報酬の開示を避けようとしたゴーン前会長が、ケリー元代表取締役に「報酬隠し」の方法を検討するよう指示したとの構図を描く。

 公判で検察側は、ゴーン前会長の退任後に報酬を「後払い」する仕組みが計画されていたと主張する。ゴーン前会長から指示されたケリー元代表取締役は、相談役報酬や退職慰労金などの名目で報酬の後払いを提案。日産とゴーン前会長との間で、こうした契約を交わすことを画策し、部下に契約書の原案を作成させたとする。ゴーン前会長が退任後に受け取る報酬額が1円単位まで記載された前会長のサイン入りの文書もあり、後払いを裏付けていると指摘する予定だ。

 一方の弁護側は「未払い報酬は存在しない」と反論する。ケリー元代表取締役は、経営者として有能なゴーン前会長を、退任後も「特別顧問」などの肩書でつなぎ留めようとしただけで、正当な対価を支払うことを検討していたと主張する。また、約91億円を役員報酬として支払うのであれば、日産が組織として支払いを決定していたはずなのにそれもなく、「報酬の後払いでないことは明らかだ」と訴える。

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