はやぶさ2最後のエンジン点火 「スムーズで安定」 12月の地球帰還へ大きく前進

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は15日、小惑星探査機はやぶさ2が地球帰還前の最後となる主エンジン(イオンエンジン)運転を開始したと発表した。イオンエンジンは同日夜、点火された。約28時間運転すると、小惑星リュウグウ往復のイオンエンジンの運転は完了し、今年12月の地球帰還へ大きく前進する。

 イオンエンジンは、キセノンガスを電子レンジでおなじみのマイクロ波を使って加熱し、イオンと呼ばれるプラスの電気を帯びた粒子にしてから、マイナスの電気を帯びた電極に引き寄せられるのを利用して噴射し、推進力とする。はやぶさ2は4台のイオンエンジンを搭載するが、地上では1台当たりやっと1円玉を動かせるくらいの力しかない。空気抵抗のない宇宙空間で続けて運転すると、探査機を大きく加速させることができる。

 先代のはやぶさもイオンエンジンを搭載していたが、トラブルが多く、帰還直前には4台とも故障する深刻な事態に見舞われた。このときは、壊れていない部品を組み合わせて運転を再開させ、2010年6月に地球帰還を果たした。

 はやぶさ2のイオンエンジンは、打ち上げ直後から順調だった。最も調子の良い1台は温存し、3台で運転を続けてきた。往路は6515時間、復路はこれまで2800時間余り稼働し、計画通りの運転を実現させてきた。その後は、姿勢制御エンジンを4回に分けて噴射して、リュウグウの石などが入っているとみられるカプセルを投下するオーストラリア上空を通過する軌道を目指す。カプセルは12月6日に帰還予定。

 吉川真・はやぶさ2ミッションマネジャーは15日の記者会見で、「はやぶさの時は打ち上げ直後からいろいろなトラブルがあって気をもんでいた。はやぶさ2は非常にスムーズで安定したエンジンだった。はやぶさから大きく進化した。無事完了すれば『本当にご苦労様でした』と言いたい」と話した。

 イオンエンジンの燃料は半分程度残っており、はやぶさ2は地球へカプセルを分離した後、新たに小惑星1998KY26を目指す旅に出る。その旅でもイオンエンジンの活躍が期待されている。【永山悦子】

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