中国人狙った特殊詐欺増加 大使館職員などかたり 高知県警が啓発チラシ

中国人狙った特殊詐欺増加 大使館職員などかたり 高知県警が啓発チラシ

高知県警が中国人向けに作った特殊詐欺防止の啓発チラシの中国語版=高知県警提供

 高知県内外で在日中国人が被害に遭う特殊詐欺事件が増えている。高知では今年に入って初めて被害が確認され、9月には1000万円近い額の未遂事件が発生。“年代”ではなく“国籍”を狙った新しい特殊詐欺の手口とみられ、県警は中国人向けの啓発チラシを作るなどして警戒を強めている。【郡悠介】

 9月中旬、県内に住む中国籍の60代男性に、中国大使館の職員をかたる女から中国語で電話がかかってきた。「あなたは事件に巻き込まれている」。警察官を名乗る男からも電話があり、「詐欺の犯人があなたの口座を利用した。名義を貸したのは罪だ」と身に覚えの無いことを言われた。その後も不審な人物から連絡が相次ぎ、28日夜になって別の男から「あした金を払え」と言われたという。

 慌てた男性は29日午後、銀行窓口で指定された口座に現金約990万円を振り込んだ。しかし送金後に不審に感じて家族に話し、詐欺と気づいて最寄りの署に相談。幸いにも銀行の即時振込時間外で入金されておらず、送金先の口座を凍結して被害は免れた。

 特殊詐欺は高齢者を狙った手口が主流だが、最近は在日中国人も被害に遭っている。県警によると、中国人が狙われた特殊詐欺被害は今年初めて県内で確認され、9月末までに未遂を含めて計3件に上る。年代は高齢者に限らず、7月には県内に住む中国籍の40代女性が被害に遭った。中国大使館や中国湖北省武漢市の警察官を名乗る男らから「あなたは犯人とつながっている。協力しないと刑務所に入ることになる」と電話で脅され、現金50万円をだまし取られた。

 他にも中国語で大使館職員などをかたる不審な予兆電話が県内で数件確認されているという。ある捜査幹部は「異国で中国当局の名前を出され、不安になる被害者の心理につけ込んでいるのではないか。日本人にかかってくることがあり、無作為にかけている可能性もある」と指摘する。

 県警生活安全企画課は被害抑止のため、8月に中国人向けの啓発チラシ(A4判)を作った。チラシは日本語と中国語の2種類。いずれも中国の警察や大使館職員をかたる電話への注意を呼び掛け、「個人情報を教えない」「相手にお金を送らない」と求める。チラシは県国際交流協会(高知市)や各自治体を通じて県内全域で配り、県警のホームページにも掲載している。

 同課の湯城武次長は「県警も金融機関などとの情報共有を更に強化し、詐欺防止に努めたい。電話でお金の話をされたらすぐ警察や周りの人に相談してほしい」と注意喚起する。

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