「楽しいはずの『明日』を返して」 給食死亡事故で娘を亡くした母 再発防止訴え

「楽しいはずの『明日』を返して」 給食死亡事故で娘を亡くした母 再発防止訴え

保護者に向けて事故当時の思いを語る香織さん=大分県別府市で2020年10月15日、河慧琳撮影

 2016年に大分県別府市の県立南石垣支援学校で給食をのどに詰まらせて死亡した高等部3年の林郁香(ふみか)さん(当時17歳)の母の香織さん(50)が15日、同校で開かれた講演会で再発防止を訴えた。

 重度の知的障害があった郁香さんは16年9月15日に給食をのどに詰まらせた。救急搬送されたが、17日後に死亡した。食事中は職員が安全を見守ることになっていたが、担当教諭は席を離れていた。

 「事故の日も、笑顔で元気に登校した。それなのに二度とキラキラした笑顔を見せてくれることはなくなった。今でも心が苦しくなる」。香織さんは講演の中で、郁香さんとの思い出を振り返った。

 春は花見に行き、夏はスイカ割りや水遊び、秋には稲刈り、冬は温泉などを楽しんでいた。郁香さんを産んだ年のクリスマスに、香織さんは十字架のネックレスを買っていた。20歳を迎える時に渡そうと用意したが、その夢は果たせなかった。「楽しいことがたくさんあったはずの郁香の『明日』を返してほしい」と声を震わせた。

 「子供が今日も元気にただいまと帰ってくること、それがなによりの幸せだと思います」と香織さんは語り、「県や教職員には事故を受けてできなかったことや足りなかった点を認めて、再発防止に努めてほしい」と訴えた。

 講演会を主催したPTAの安部由美子会長(55)は「子供の命を預ける学校で、助けてもらえず亡くなってしまうのは親として本当に悔しい。事故を忘れないためにも毎年開催したい」と話した。【河慧琳】

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